【名探偵コナン】【文スト】名探偵の親友は武装探偵社員Ⅱ (ページ5)

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No side

(＿＿＿理想とは何か？その問いへの答えは無数にある…。)

探偵社の社員寮のとある一室、どこか一点を見つめながら男は考える。

棚に置いてある湯のみからは湯気が立ち上っており、淹れたてであることが伺える。

(曰く言葉である、思想である、あらゆる意味の源泉である……だが俺に云わせれば、その答えは明確だ。)

(＿＿俺の手帳の表紙、そこに書かれた単語であ…)

ドンドンドン！！

突然玄関のドアが強く叩かれる。

「なんの騒ぎだ朝っぱらから！！」

苛立ちながら男が玄関へ向かう。

ドアを男が開けると、そこに立っていたのは彼の職場の後輩…天野であった。

『すみません国木田さん、お醤油切れちゃったんでちょっと貸して貰えます？』

「醤油！？それならもっと軽くドアを叩け！！そこまで強く叩かなくても良いだろう！」

『あはは、すみません…目玉焼き食べるのに醤油がなくてですね…。それに急いでて…。』

「それならばソースや塩で食べれば『何言ってるんですか、私は醤油しか認めませんよ！他は邪道です！！』…別に俺はお前の目玉焼き事情など聞いておらん！！」

「俺の理想には朝っぱらから醤油がないのなら他の調味料を使えば良いものを、醤油でなければ駄目だと言う奴が駆け込んでくるなど書いていないぞ！！」

男＿＿＿国木田独歩はヒステリックにそう叫び、頭を掻きむしった。

…彼の理想は、朝早くから破壊されたようである。

＊

『おはよう、園子、蘭。』

教室に入り、2人に挨拶をすると笑顔で返事が帰ってくる。

と、ここで心做しか園子がニヤついているのに気づいた。

「ちょっとA、あの後どうなったのよ！」

「私もちょっと気になるなぁ…初対面なのに送ってくれるなんて…」

「「Aに気があるんじゃない！？」」

『…それは無い。』

確かに初対面で送ると言い出すのは可笑しい。

けれども、ただ単にあの一件…諸伏景光の件を降谷さんは持ち出したかっただけであろう。

決して気がある訳じゃない。

「なんで！？」

「だって初対面なのに送るって言うなんて…いくら安室さんが紳士的でも流石にないんじゃない？」

『あぁ、あの後聞いたんだけどねぇ、安室さんとあの後スーパーに行ってね、おひとり様2パックまでの卵の特売やってたんだけど、その人員確保のためだよ。そんな色恋のどうのこうのじゃない。』

…我ながらデタラメすぎる気がする。

「えぇー？」

「嘘…。」

残念そうに二人は声を上げた。