【名探偵コナン】【文スト】名探偵の親友は武装探偵社員Ⅱ (ページ7)

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『＿＿＿お待たせしました、待ちました？』

「いや、時間ぴったりだ。」

柱に寄りかかっていた国木田さんが満足気に顔を上げる。

「今日は珍しく制服なんだね、Aちゃん。そんな姿も花のように美しい！！どうか私と心中…」

『結構です。』

「えー…ちょっとだけでもいいのだよ？」

『心中にちょっともクソもないでしょう！』

最近太宰さんが隙あらば心中に誘うようになった。

これまでは入水だの首吊りだの、一人で自殺していたのにも関わらず、だ。

『ねぇ、どうしてだと思う、敦くん。』

「え？ …あぁ…この前、乱歩さんと事件現場に行ったんですけど…その時、やはり死ぬなら美女との心中が良い、と…。」

『なるほど…。』

私だって少女漫画のヒロインではないのだから、少なくとも自分がブスと呼ばれる部類ではないと自覚している。

にしても入水している所を川に飛び込んで助けたり、首を吊っている縄をちょんぎったりしてこれまではこの人の自殺を阻止していたのに、これからは心中に誘われるのが鬱陶しくなるのだろうか。

どこがクリーンな自殺だ。

面倒なことになったと、太宰さんを恨めしく見つめると、きょとりと瞬いて此方を見下ろす。

「なんだいAちゃん、気が変わって心中する気に…」

『なってません。』

「ちぇー…。」

口を尖らせて再度上を向く太宰さん。

「太宰、何をトロトロ歩いている。もう少し急げ。」

「うぃー。」

「約束の時間まで後二分十五秒しかないのだぞ。」

「そりゃー、大変だ。」

私達の後ろを少し遅れて歩いている太宰さんに、国木田さんが言った。

返事をした割にはペースが上がっていない。

「僕も同行していいんですか？」

「これも新人教育の一環だ。」

『それに今日はそこまで肉体労働をする訳でもなさそうだしね。』

確かに敦くんは探偵社に入って間もないが、彼の異能は強力だし、探偵社の仕事は実際にやってみた方が聞くよりも早い。

「今回俺たちは、ヨコハマ連続失踪事件を追う。」

「ヨコハマを訪れた観光客が、次々と行方不明になるっていう事件ですよね…。」

「タレコミがきた。匿名のな…。」

「匿名のタレコミ、実に胡散臭くて素敵な響きだ。」

『確かに胡散臭いですね、素敵という所には同意しかねますが。』

「だが無視する訳にもいかん。」

探偵社にタレコミを入れるということは、悪戯ではない。

ヨコハマで何か起こっているのなら、対処すべきだ。