【黒バス】ウソコク【緑間真太郎】

32こめのウソ。 ページ35

「まさか、とは思ったがココを選ぶとはな」

「だって……見たかったんだもん」



そう言いながら私たちが観戦しているのは、高校生のバスケの試合。

遊園地とか、動物園とか、いわゆる「普通」の案もあったのに、どんな場所よりもここに惹かれてしまった。



「バスケの何がそこまでお前を惹きつける」

「私もこんなに面白いものだって知ったのは最近だし、偉そうなこと言えないけど……」



＿＿あれ。私、今。



「……言えないけど？」



急に押し黙った私の言葉の先を急かすように、語尾を繰り返す緑間くん。



「緑間くんが、やってたから」

「オレが？」

「なんか変なこと言ってるね！ど、どうしちゃったんだろ……熱でもあるのかな!?」



ニセモノなんだ、この気持ちは全部。

ニセモノでなくちゃ、ダメなんだ。



「……白井」

「なに？」

「そういった発言はもっと考えてすべきなのだよ。誤解されたらどうするつもりだ」

「緑間くんにしか言わないから」



コートの試合を応援する声もどこか遠い。

今日の私は本当にどうしちゃったんだろう。



「だから、そういった発言をだな」

「うん。ごめんね、今のは忘れ、て」



そこまで言って思わず息を飲んだ。



「あんまり見るんじゃないのだよ……っ」



右手で顔を隠す彼の頬が、かすかに赤くなっているのが目に入ったから。

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