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ザァァ、と近くの木を大きく揺らした風に靡く髪を押さえる。思わず飛んで行ってしまいそうだと思うくらい強い突風につんのめりそうになった私の腕を、「センパイおはようございまーす！」と呑気に伸びた、しかしこんな曇り空には似合わぬ活気溢れる声の持ち主が掴み上げて支えてくれた。
「風に飛ばされそうになってました？」
『めちゃくちゃ』
「あはは、先輩かわいぃ〜」
『馬鹿にしてる？』
「いやいや、マジに決まってるやないですかもぉ〜」
相変わらずのグルグル眼鏡の奥で、蜂蜜を溶かした様な黄金色の瞳が悪戯げに弧を描く。甘えたな声音とは対称的に、身長も高く恰幅も良いチーノくんは、強風に横殴りに吹かれて髪をぐしゃぐしゃにされても岩かの様に微動だにせずに立っている。
私から見れば威圧感しか無い体格をしているが、案外その言動のあざとさがマッチしているのは奇跡だろう。一人っ子にも関わらず、弟が出来た気分になる。
『……ぁ。ちょっと待っ、あ、届かな……』
「？何してるんです？」
『髪にゴミが付いてた、から……うーん無理だあ』
ふと、風に煽られて形の崩れた髪を手で大雑把に直す彼を見ていれば、その綿飴みたいな柔らかそうな髪に木の葉がくっ付いているのが見えた。
こんな風の中、意地でも張り付いているのを見るに本当に綿飴かもしれないな、なんて馬鹿げた事を思いながら背伸びして取ってあげようとするが、実際に手を伸ばしてみると想像以上に差が大きくてまるで届かない。巨人だこれは。
「はい、先輩。どぉぞ」
『ぇ？……あぁ、うん。ちょっと待ってね』
目をキョトンとさせて私の必死な様子を眺めていたチーノくんであったが、私が諦めて肩を落とした様子を見てクスリと一つ笑うと、その場に犬の様にしゃがみ込むと「取ってください」と言わんばかりにあどけない顔で私を見上げた。
あまりにも自然にしゃがみ込むものだから戸惑いながらも、彼の髪に指を通して絡まっている葉っぱを取る。自然と指が沈む様な心地良さに少し撫でてみれば、彼は「ン〜」と無意識にか喉を鳴らさんばかりに気持ち良さそうに声を上げた。犬か。
『はい、取れた。もういいよ…………チーノくん？』
「……下から見る先輩って、こんな感じなんや………ええな、こういうんも」
そりゃ、高身長の彼が私を見上げる機会なんて早々無いだろうが。それにしたって、どこか惚ける様に聞こえたその言葉が、その瞳が何故だか見ていられない。
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吟游(プロフ) - 主様、山形県の人ですか？ (7月17日 17時) (
レス) @page34 id: 30ccb713d5 (このIDを非表示/違反報告)
ﾊﾟｧﾗﾀﾞｧｲｽ(プロフ) - 続編おめでとうございます。今回の作品も期待以上のワクワクを楽しませていただきました。夢主ちゃんやd!の方々の性格や作者様の言葉選びや世界観が大好きです。続編、とても楽しみにしてます。どうか無理なさらず、ご自愛くださいませ。 (7月11日 23時) (レス) @page50 id: 976f6a7def (このIDを非表示/違反報告)
ゆかり(プロフ) - 続編おめでとうございます！この作品に出会ってから楽しみが出来たみたいで凄くワクワクしました！続編とても楽しみにしています。無理なさらずガンバってください！🎊 (7月9日 22時) (レス) @page50 id: 500b929cee (このIDを非表示/違反報告)
すいー - うわぁあ続編…！！めっちゃ楽しみです！！！✨✨ずっと前から読んでて、更新が楽しみでワクワクしてます！！これからも無理せず頑張ってください！！ (7月9日 21時) (レス) @page50 id: 7621d5ed60 (このIDを非表示/違反報告)
霧雨 優菜 - この作品大好きです！rbrさん可愛すぎ💓💞作者さん、無理せずに頑張ってくださいね！ (7月7日 22時) (レス) @page41 id: ceee97dc98 (このIDを非表示/違反報告)
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