#No!No! 3

132. 2 side ページ32

リハに戻ったけど怪我したAさんのことが気になっていた


橋本さんは軽い捻挫って言ってたからたぶん大丈夫そうだけど……
あの子の性格上、たぶん無理してがんばるだろうなって思ったから


リハが終わって一旦休憩に入る時
ケータリングの場所でアイスカフェラテを入れてるタマを見つけて

伝えた方がいいよな？

って思って声をかけた

『お疲れーっす。』

『お疲れー。』

そう言ってタマはゴクゴクとストローでカフェラテを飲んだ

『あのさ、さっきAさん花道から落ちちゃったじゃん。』

『あ、あれね。
　びっくりしたよ。』

タマはいつもと変わらない

『なんか……足捻ってるみたいだったから橋本さんにテーピングしてもらったから。』

『そうなんだ。
　じゃ、大丈夫そうな感じ？』

……なんでこんなに普通なんだ？
普通なら……もっと慌てない？

『大丈夫だと思うけど……、
　無理しちゃいそうだし……
　帰り送ったら？』

『え？
　俺が？
　なんで？笑』

ってタマが笑った


えっ………なんでって………


『……付き合ってんじゃないの？』


『えー？
　あれ？
　言ってなかったっけ？
　俺、フラれたよ？笑』

っていつも通りふわふわしたタマで笑った



え…………


フラれた？


タマが？



聞き間違いかと思った

『え？
　だって仲良いって……言ってたじゃん。』


『うん。
　言ったよ？
　［前と変わらず］仲良いって。』


……なんだよそのひっかけワードみたいなの


『………俺じゃダメみたいなんだよね。』


って少しだけ悲しそうな顔をしたのを見逃さなかった


『ま、Aちゃん最初からずっと一途だもんね。
　その相手はその気持ちに応えてあげないみたいだけどね。』

真っ直ぐに俺の方を見ながらタマはそう言った


俺は思わず唇に力を入れてギュッと口を一文字に閉じた




『俺……ちょっとマネージャーに頼み事あるから行ってくるわ。』


タマにそう言って
俺はマネージャーを探すためにその場を離れた

133.T side→←131.

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す