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リップを塗っているタイミングで電話が鳴った


「もしもーし。」

『おはようございます!
 着いたから降りてきて。』

「おはようございます!
 今降ります!」


ギリギリセーフ


メガネをかけてカバンを掴んで家を飛び出した



マンション前で待つマネージャーの車に乗る

「おはようございまーす。」


『おはようございます。
 眠れた?』


「いつも通りです!」


『そう。
 ならよかった。』

田中さんは軽く微笑むと車を発進させた


昨日とは打って変わって明るい景色が車窓を流れた


社長に何を言われるんだろう


不安だった


明るいはずの景色が私の不安せいだろうか
ダークグレーに見える気がしていた


いつもはいろいろ話しながら行くのに
今日は私も田中さんも無言だった


田中さんも不安なのか
私に気を遣って無言なのか
その真意はわからなかった


無言のまま会社へ到着し
地下の駐車場へと車を停めた


2人で一緒に16階にある社長室へ向かう

社長室の前にある秘書室へと入ると
社長秘書の秋山さんデスクに座っていた

今日もいつもと変わらず超絶美人だった

「おはようございます。」

『おはようございます。』

秋山さんはそう言ってチラリと自分の時計を見ると
『少々お待ちくださいね。』
と私たちをソファへ促した

そのまま社長室のドアに向かい

コンコンコン

とノックをすると中から

『はい。』

と社長の声が聞こえた


秋山さんは少しだけドアを開けて
『社長、Aさんと田中さんがいらっしゃいました。』
と声をかけた

『そうか。』

数秒後に社長がドアから顔を出したので
私と田中さんはサッと立ち上がって
『「おはようございます。」』
と2人で挨拶をした


『おはよう。
 とりあえずまず田中から話すから。
 Aは社食でも行ってきて。』

「あ、はい。
 わかりました。」

田中さんは私にアイコンタクトを取ると
そのまま社長に従って社長室へと入っていった


パタン


とドアが閉まったので私は社長に言われた通り最上階にある社食に向かうことにした

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作者名:桃マスカット | 作成日時:2023年8月2日 14時

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