Deep Red Singer (ページ3)

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そのタクシーが見えなくなるのを確認して
すぐにマネージャーに電話をした

「もしもし、田中さん？
　終わりましたー。」

『了解。
　迎えに行くから待ってて？』

「はーい。」

いつもいつもマネージャーは必ず迎えに来てくれた

正直助かった

その場で20分ほど待っていたらマネージャーの車がやって来た

「ありがと。」

『うん。』

そう言うとマネージャーはすぐに車を発進させた

はぁーーーーー
疲れた

顔に張り付いていた営業スマイルをとって
素の自分に戻る

早く家に帰ってシャワーを浴びたい
ベタベタ触られた部分を洗い流したいと思った

窓の外の流れるキラキラとした夜景を眺めて
無の感情になろうとしていたら
田中さんから話しかけられた

『明日のスケジュールなんですけど、』

パッと顔を上げるとルームミラー越しに目が合った

『社長に呼ばれてるので朝10:15にお迎えに行きますね。』

「え？
　事務所ってこと？」

『そうですね。
　11時に事務所に来いと……。』

「えー……
　なんだろう。」

『……なんでしょうね。』

田中さんも知らないようだった

社長直々にお話……
緊張する

いい話だといいけど……
その可能性は低いな

なんだか胃がモヤモヤとしてくる感じだった