ラナンキュラス (ページ7)

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しばらく動けなかったけど
ずっとそこにいるわけにもいかず………

「……帰る。」

そう言って立ったけどまだ全身の震えは治ってはいなかった

『……とりあえず俺向こう向いてるから俺のシャツ着れば？』

ニカがそう言ってくれたからシャツを借りることにした

ボタンが千切れた自分のシャツを脱いでニカのシャツを着た

シャツを脱いだせいでニカはタンクトップに制服のズボンって言うなんだかカッコ悪い感じになってしまった

「……シャツ、ごめん。」

『いいよ。
　ほら、帰るぞ。』

ニカは何も言わなかったけど私に付き添って家まで一緒に帰ってくれた

ずっと無言のまま一緒にいてくれた

私の家の前まで着くと
ニカが立ち止まる

「あの………一緒に帰ってくれてありがとう。」

『………お前さ、明日も玉森先輩見に行くの？』

「え？」

思っても見ないことを聞かれて驚いた

「………わかんない。
　けど……華が行くなら行く………のかな？」

今はそんなこと考えられなかった

クルッと体をこっちに向けたニカ

『明日からも送ってやるから終わったら弓道部まで来いよ。』

真っ直ぐな目で私の方を見てニカはそう言った

「え？」

『……1人じゃまだ怖いだろ？』

……………

……………

確かに私の手はまだ微かに震えていたし
明日は1人で帰るってなると………
怖くて足がすくんだ

「…….いいの？」

『いいって。』

「…………じゃぁ………お願いします。」

『うん。』

『じゃ、シャツいつでもいいから。』

そう言うとニカはくるりと背中を向けて帰って行った

家に帰ると私の様子にびっくりしたお母さん
私は全てをお母さんに話した

そのあとは警察へ行って被害届の提出

長々と話を聞かれて家に帰る頃にはもうヘロヘロだった

お父さんもお母さんも私のことをかなり心配してくれた

お父さんなんて送り迎えするって言い始めたから

帰りはニカが送ってくれることを言うと
小学生から一緒って言う信頼もあって
お母さんは
『それなら安心ね。
　お母さんも二階堂くんのお母さんにお礼を言っておくから。』
と言ってくれた

お父さんはちょっと不服そうだったけど

お母さんに
『あなたは毎日そんな早い時間に帰ってくるの無理でしょ。』
って嗜められて渋々了承してくれた