#No! No! (ページ15)

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帰る支度を整えて二階堂さんと地下の駐車場へ向かった

『乗って。』

二階堂さんがそう言った車を見て驚いた

「でかっ………。」

さすが芸能人……
いい車に乗ってる

さすがにちょっと躊躇ったが……

二階堂さんが乗せてくれるって言ったんだもんね

そう思って助手席のドアに手をかけた

『あ。
　そっちじゃなくて後ろ乗って。』

即座にそう言われてハッとした

「あ………すみません。」

さっきまでさすが芸能人とか思ってたくせに
彼が芸能人であることを瞬間的に忘れていた……

「お邪魔します。」

小声でそう言って後部座席に乗り込んだ

二階堂さんはバタンとドアを閉め

『ごめんね。
　さすがに女の人を助手席には乗せられないんだよね。』

と言った

「いえ………私、何も考えてなかったです。
　配慮が足りなくてすみません……。」

私が恐縮していると

『こう見えても、俺アイドルだから！』

後ろを振り返ってニッと笑って大きな声でそう言った

「はい……そうですよね。」

私はますます小さくなった気分だった

『え？！
　なんで！？』

「えっ……。」

『今の、笑うとこなんだけど！』

「へ？」

『だから、【こんな俺でも】って自虐じゃん！
　……ってこんな説明させないでよ。
　逆に恥ずかしいじゃん。笑』

そう言って笑っていた

「あ………そう言うこと。」

二階堂さんの言葉を何回か頭の中で反芻した

「ふふ……。」

『やっと、笑った！
　Aさん遅いよ！』

「すみません。笑」

二階堂さんって……
不思議な人だと思った

全然掴めない

変な人だと思ったり
かと思えば
メンバーのことをフォローしたり

今のはもしかして………
私のこともフォローしてくれたのかな？

いったいどれがほんとの二階堂さんなんだろう

百貨店から少し離れた比較的人通りが少ない道で車が止まった

『目の前までは行けないけど、ごめん。』

「いえ、ありがとうございました。」

『じゃ、千賀の化粧品よろしくね！』

「ふふ。
　わかりました。
　お疲れさまです。」

そう言って私が車を降りると

『ほーい、お疲れーっす！』

窓から手を出してヒラヒラと手を振ってくれ
車を発進させた