#No! No!

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『と言うことは、Aさん今は彼氏いないってことだよね。』



「です。
　今は仕事覚えるので必死です。
　恋愛してる暇なんてありません。」


『ふーん。』



そう言うと少し2人の間に無言の時間が流れた



ちょっぴり気まずくて



グルグルと回らない頭で考えてやっと出た言葉が


『二階堂さんは彼女さんいないんですか？』


その言葉に二階堂さんが目を丸くした



あ………



その表情を見て思い出した




彼はアイドルだった



私………とんでもないこと聞いたよね？！



「あ………えっと………。」



慌てて取り繕おうとしたけど言葉が出てこなかった



『ふはっ！
　Aさんさ、毎回言うけど俺のことアイドルってわかってる？』


三日月のような目になって笑う二階堂さん


「なんででしょうね……
　時々忘れちゃいます。
　すみません……。」


自分が犯した失態を思い知って
恥ずかしくてまた体温が上がって行く感じがした

二階堂さんは笑ってくれているけど

本心はもしかしたら………
なんて失礼なやつだと思われているかもしれない



『……俺さ、デビューしてから彼女っていないんだ。』




「え？」



その発言に驚いた

だって………


絶対モテるじゃん


二階堂さんの彼女になりたい人なんてきっと山ほどいるはず


悪く言えば選びたい放題でしょ


なのにずっといないの？


『俺の彼女は俺のファンだからね。』


そう言ってニッと笑う



あぁ、いつもの冗談か


そう思った


『あ。
　これ、冗談じゃなくて本気だから。』


すかさずそう言われた



『尊敬してる先輩に言われたんだよね。
　アイドルにとって恋愛って致命的だから、
　するなとは言わないけど絶対バレるなって。
　俺、バカだし不器用だからさ……
　バレない自信なくて。
　だからもういっそのことしない方がいいんだろうなと思ってファンが彼女だと思うようにしたんだよね。』


そこには覚悟のようなものが感じられた

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