アネモネ (ページ10)

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そんな千賀さんにキュンとしてしまい………

「だから………待ち合わせしませんか？」

思わずそう言ってしまった

私ももっと千賀さんと話したい

もっと………千賀さんのことを知りたい

『えっ。』

私の思っても見なかった言葉に千賀さんも驚いている

『いいの？』

「ふふ。
　規則違反ギリギリかもしれません。笑
　………内緒にしてくれますか？」

『も、もちろん！
　2人だけの秘密だね。』

千賀さんはそう言ってまた満面の笑みで微笑んだ

『俺の行きつけのお店教えるね。』

そう言ってバッグから手帳とペンを出して
サラサラと何かを書いてビリっと破って私に差し出した

『ここのお店で待ち合わせね。』

「分かりました。」

『明日、20時でどう？』

「急ですね。笑」

『………待てなくて。笑』

そう言って2人で笑い合った

2人だけの秘密って言葉が嬉しくて

2人だけ出会えるのがすごく嬉しくて

明日が待ち遠しくてたまらなかった

結局

その日は千賀さんは何も購入されず
何点かサンプルのみのお渡しで終わった

サンプルを小さな袋に入れて外までお見送り

「ありがとうございました。」

そう言って袋を手渡そうとした時に
タイミングが合わず手が滑って袋を落としてしまった

「あ。
　失礼しました！」

慌てて拾おうとしゃがむと千賀さんも一緒にしゃがんで
コソッと私だけに聞こえるように

『じゃ、また明日ね。』

そう言った

思わず千賀さんの方を見ると真っ直ぐな目で私を見て
ニコッと笑って立ち上がった

『ありがとうございました。』

「またお待ちしております。」

ドギマギしながらお辞儀をした

………これは恋なのかな？

私、千賀さんを好きになってもいいのかな？

その日も次の日も
千賀さんで頭がいっぱいになっていた

タイムカードを押して
待てない私は小走りでお店に向かった

はやる気持ちが抑えられない

扉を開けたら

きっと…………天使が待っている

---The END---