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次の日は朝早かった
8時には引っ越し屋さんが来てしまう


朝からかずくんと2人でバタバタと引っ越しの最終準備


残りのものを段ボールに詰めて
ゴミをまとめている時にインターホンが鳴った


「はーい!」


『お世話になります!
 引っ越しセンターです!』


「お世話になります。
 よろしくお願いします!」


そこからはさすがプロの仕事だった
たくさんの段ボールの山も家電もあっという間にどんどんトラックに積められて
ものの2時間程度で家の中は空っぽになった


『じゃ、荷入れは明日の10時でよろしかったですよね?』


「はい。」


『またよろしくお願いします。』


そう言って担当の2人のお兄さんは嵐のように去っていった



『さすがプロだね。』


この手際の良さには毎回すごいと感心してしまう


「さ、掃除機だけかけるからちょっとだけ待ってて?」



空っぽになった部屋に掃除機をかける
家具がないとがらんとしていて部屋が広く感じた

とは言え逆に家具がないおかげで掃除機もすぐに終わる

ホコリだけさっさと吸ってサクッと終わり


『飯、食いに行こうか?』


「そうだね。」


車のトランクと後部座席に必要なものを詰め込んで
鍵を取りに来た不動産屋さんとの手続きも終え
私たちは近くの定食屋さんで少し早めのお昼ごはんをとった





そして…………




『さ、行こっか。』



「………うん。」



ついにこの街を出る




バタン




助手席に乗り込みシートベルトを締める







急に寂しさが込み上げてきた





目にうるうると涙が溜まってくるのを感じた





『………ん。大丈夫?』



かずくんがそう言ってティッシュの箱を差し出してくれた



「ありがと……。」



そのおかげで涙が溢れる前に抑えることができた



「なんか………職場の人たちがほんといい人だったから……
 急に寂しくなっちゃった。笑」



『……いつも俺の仕事の都合でごめん。』


かずくんはちょっと気まずそうにそう言った


「ううん!
 それは結婚する時にわかってたことだし大丈夫。
 ちょっとだけ仕事お休みしてまた探すし。
 次もいいとこだといいなー。」


かずくんも自分の転勤で私が仕事を辞めないといけないことに少し責任を感じているのかもしれない……

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作者名:桃マスカット | 作成日時:2022年2月25日 7時

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