This CRAZY loVe 2

88 F side ページ38

『え？
　今なんて言った？』



俺の聞き間違いだと思った


『Aさん、ご主人が転勤になったみたいで今月で辞めるって。』


渉がそう俺に言った
やっぱり聞き間違いではなかった



『そうなんだ……。』


言葉が出てこなかった

正直動揺した



『Aさん、泣いてたって。』


『え？』


『俺らも寂しいよな……。』


『……そうだな。』


そう答えるので精一杯だった


『太輔、Aさんのこと気に入ってただろ？』


渉が思っても見なかったことを言ったので驚いた


『なんでだよ。笑』


『いや、なんとなく？
　今までの彼女とは違うタイプだなーとは思ったけど…
　結構ちょっかいかけてる感じだし、好きそうだなって。』


『はは。
　そうかな？』


『ま、Aさんは既婚者だし？
　そう言うことはないと思うけど。
　やめとけよ？』


………渉はなんでもお見通しなのかもしれない



きっと俺に釘を刺している



『はは。
　わかってるよ。』



やめとけもなにも……



もう………




終わるしかなかった





彼女はいなくなるのだから











タバコ休憩をしようとコーヒーを買っているところに
Aさんが通りかかった


ちょっと迷ったが……



『Aさん！
　タバコ休憩しない？
　付き合ってよ。』

そう声をかけた

「うん。
　私も話したかった。」

そう言うからアイスカフェオレを買って手渡した

「ありがと。」


2人で並んでタバコを吸った


『……辞めるんだって？』



「うん……。
　ほんと急にごめんね。」


はっきりと彼女の口から聞くとより現実味が増して寂しくなった


『みんな寂しがるよ。』


「うん。
　私も寂しい。」


『ごめん……うそ。
　俺が寂しい。』


「へへ。
　やめて……泣いちゃいそう。」


そう言って目に涙を浮かべた


「26日………会える？」



『もちろん。』



「よかった。」


『忘れてた。
　その日、夏祭りの日だから
　花火……うちから見れるよ。』


「そうなの？
　じゃ、一緒に見れるね。」


『そうだね。
　楽しみにしとくよ。』



きっとこの日が2人で会う最後の日になるのだろう

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