【stpr】組長娘と婚約者候補【な組】Part3

#111 ページ29

〜ジェルSIDE〜

俺の当番の日。

事故とはいえキスしてしまった俺はAさんをまともに見れない。

キスしたからではない？ファーストキスはその名の通り初めてのキス。

そんな女の子にとって大事な大事なファーストキスを……。

よりにもよって事故で……！

ファーストキスはレモンの味とか言ってる場合やない！

「ジェル、いつまでもそんな感じだと私も嫌なんだけど」

その前にファーストキスを奪われたのになんでそんな何事もなかったかのように…。

俺が黙っていると長いため息を吐きピシャリと言い放った。

「私、いつまでも事を引きずる男嫌いなのよね」

うぐっ……。流石にその言葉は傷つく……。

「何をそんなに気にしてるの」

「……俺とのキス……ファーストキスで事故でしたよね？」

言ったあとに「え、まさかそれが理由？」みたいな顔をされた。

「まさか私の初キスが事故だったからそんな態度なわけ？」

「だって人生に一度しかなかったのに……」

そんな初キスを俺は。

「…私は初キスがどうこうよりあんたと合意でできなかったことが不満だけど」

「え？」

俺は驚いてAさんを見ると少し頬を紅くしていた。

「みんなには内緒にしててあげる……ん」

そして目を閉じる。

合意でキスをできなかったことが不満、そしてこの行動。

みんなに内緒にしてあげるから今キスしろってこと…？

俺は意を決して目を閉じてゆっくりとキスをした。

よかった……嫌われてたらどないしよかと思ってた。

唇を合わせているだけでも許されている。

「失礼します！Aさん、お茶……何やってんだジェル！！」

キスしてる真っ最中にるぅちゃんが入ってきた。

その後篁さんにちょっと代わってもらって……。

言うまでもない。みんなに特訓場に連行された。


〜おまけ〜

「いや私はね？止めようとしたんだよ？」

「お嬢、それは連れてかれる前に言わなきゃ駄目なやつです」

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