1.星に願う日 ページ49
とある少女の
少し、昔の話をしよう。
まだ彼女に亀裂が入る前の、普通の家族の日常話だ。
太陽の照る夏の時期だった。
＿＿
＿＿＿＿
『あついぃ〜お父さんあついよぉ…』
「お父さんも暑いよ〜…」
少女が父親と太陽の照る中、コンビニ袋を提げて歩いていた。あついと言いつつ少女はそれでも父と繋ぐ手をはなそうとはしない。
「でもこれでお母さんとお腹の赤ちゃん元気になるぞ！」
『ほんと！？やったぁ！』
小さな拳を高く天へ突き上げた。
お腹に小さな命を宿した母親の体は、夏バテ気味であった。
『ふんっ、夏のあつさなんてわたしがやっつける！お母さんも妹もまもるんだから！』
「おお！……あれ、お父さんは？」
『？？、お父さんはお家をまもるんだよ。』
「し、しっかりしてる…！」
父親は半分ガッカリして半分嬉しく思った。
「＿＿Aはもう立派なおねえちゃんだなぁ。」
父親の言葉に少女は白い歯をにっと見せて笑った。
＿＿
＿＿＿
『お母さん、"たばなた"だね！』
「ふふっ…A、"七夕"よ。」
少しお腹の大きな妊婦。
母親はくすりと笑って傍らの少女の頭を撫でた。
「お母さんの調子も良いみたいだし、祭りに行ってお願い事でもするか！」
『やった〜〜！』
今度こそ両手でバンザイ！
感情のまま喜びを表した。それを両親は微笑んで見つめる。
「Aはなにをお願いするの？」
『うーん……内緒！』
「お父さんには教えてくれるよな〜。」
『えへへ、だめ〜』
赤い瞳はぷいっとそっぽ向いた。
「そんなこと言わずに！」
『だめー』
「お父さんのお願いごとも言うから〜」
『やだー！』
少女は大きくなった母親のお腹を撫でながら父親と言う言わないの問答を繰り返している。
「ふふっ」
母親は彼女たちのそんな様子を見るのが好きだった。
そんな、なんてことない日常が好きだった。
＿＿
＿＿＿＿
ざわざわ。がやがや。
屋台とおいしそうな匂い、夜空の下で灯籠や照明が光る。
『お母さん、からだ大丈夫？つかれてない？』
「大丈夫よ、そこで座って待ってるからお父さんとお願い事書いておいで？」
『はーい！』
その奥にはあちこちに設置されてある笹にぶら下がるたくさんの短冊があった。
『うわあ…いっぱいある。』
「ははは、この数は驚くな！それだけ願いもたくさんあるんだよ。」
ぼおっと見上げながら、ふぅん…と呟いた。
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Wolf@元フェアリー(プロフ) - めちゃくちゃ感動して静かに泣きました･･･累計で4回くらい泣いたと思います･･･素敵な作品をありがとうございました！ (3月21日 23時) (
レス) @page48 id: ebc545326a (このIDを非表示/違反報告)
たろ。(プロフ) - 号泣しちゃいました…リミオさんと爆豪くん惚れちゃうわぁ〜！ (2023年2月1日 10時) (レス) @page50 id: ba071d904f (このIDを非表示/違反報告)
pino(プロフ) - やぎさん» コメントありがとうございます！こちらこそ最後まで読んでいただき、本当に嬉しいです！(*^^*) (2022年11月21日 23時) (レス) id: 16ca5ec74a (このIDを非表示/違反報告)
やぎ - 主様〜😭やばすぎですー目から滝が…こんな最高な作品を作ってくれてありがとうございます😭 (2022年10月14日 16時) (レス) @page50 id: c3ead30411 (このIDを非表示/違反報告)
pino(プロフ) - 名無しさん» コメントありがとうございます！こちらこそ最後まで読んでいただき、本当に嬉しいです！(*^^*) (2022年9月4日 23時) (レス) id: 16ca5ec74a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：pino | 作成日時：2020年2月27日 23時
