76.選んでいいはずがない ページ28
緑「Aちゃん。」
「デクさん。あ、もう終わったんですね！」
カァカァとカラスの鳴き声が聞こえる。
入口近くの壁を背にすわってると、Ａ組の皆さんが帰ってってることに気づく。
コスチューム姿のデクさんは少しボロボロ。
緑「よいしょ…っと。Aちゃん勉強熱心で関心させられちゃうよ！」
「勉強熱心…？」
体育館の中は二人だけになった。
緑「ねぇ、Aちゃん。」
「はい？」
緑「あの…なんていうか、困ったこととかない？悩み、トカ！」
…わたしはうつむきながら口を開いた。
「いつも見る夢で、わかったことがあるんです。」
緑「わかったこと？」
…言わないと。この人たちは真剣に伝えようとしてくれたんだから。
「わたしは、デクさんたちが言ってくれた言葉がわからないわけじゃなかった。」
緑「え？」
「"自分の人生"、"自分のために生きる"……理解できないんじゃない。わかっていても…そもそもわたしにはそんな選択肢なんてなかったんです。」
そんな…道なんて、
『全部、全部。あなたのせいなのに。』
選んでいいはずがない。
「わたしにとっては"どうでもいいこと"を、あまりにもあなたは必死に伝えようとしてくれたから…きっと心底驚いただけだった。」
デクさんは静かに話を聞いてて、絶句したみたいに押し黙ってた。
緑「…どうして、そんなことを？」
呟いたそれに返す。
「エリをあんな地獄へおくったのはわたし自身なんです。」
自分の爪が掌に食いこむ。
そして、話した。
お父さんとお母さんのこと。こんなことになっちゃった原因は…わたしだってこと。
緑「"個性事故"…」
「相澤さんから聞いてるかもしれませんね。」
ふ、と笑ってみる。
「お父さんが消えて…お母さんもいなくなっちゃった。まだ幼いエリから家族を奪って、あんな日々を送らせて…取り返しのつかないことを。…だから、」
隣で息を飲む気配がした。
「＿＿取り戻さなきゃ。奪ったモノを返さなくちゃ、どんな形でも…"エリの幸せ"を手にいれて、ずっとそうでいられるように、守らなくちゃ。」
エリのために。
緑「でも、そんなの…！君が幸せになっちゃいけない理由にはならない！！」
デクさんはまるで自分が傷ついたような顔してた。
「ふふ、デクさんはいつもそうだね。」
いつもわたしより悲しそうな顔をする。
「なんだか、泣きたくなる。」
…わたしには暖かくて、優しすぎる。
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Wolf@元フェアリー(プロフ) - めちゃくちゃ感動して静かに泣きました･･･累計で4回くらい泣いたと思います･･･素敵な作品をありがとうございました！ (3月21日 23時) (
レス) @page48 id: ebc545326a (このIDを非表示/違反報告)
たろ。(プロフ) - 号泣しちゃいました…リミオさんと爆豪くん惚れちゃうわぁ〜！ (2023年2月1日 10時) (レス) @page50 id: ba071d904f (このIDを非表示/違反報告)
pino(プロフ) - やぎさん» コメントありがとうございます！こちらこそ最後まで読んでいただき、本当に嬉しいです！(*^^*) (2022年11月21日 23時) (レス) id: 16ca5ec74a (このIDを非表示/違反報告)
やぎ - 主様〜😭やばすぎですー目から滝が…こんな最高な作品を作ってくれてありがとうございます😭 (2022年10月14日 16時) (レス) @page50 id: c3ead30411 (このIDを非表示/違反報告)
pino(プロフ) - 名無しさん» コメントありがとうございます！こちらこそ最後まで読んでいただき、本当に嬉しいです！(*^^*) (2022年9月4日 23時) (レス) id: 16ca5ec74a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：pino | 作成日時：2020年2月27日 23時
