8.耐えてばかりで ページ9
「っっう"ぅ＿＿！！」
切れ味のいい刃が肌を切り裂く。
固定するためのベルトがギシリといやな音をたてた。
治「手はもう駄目だな、次は足を使うぞ。」
玄「へい。」
歯をくいしばる。
＿＿耐えろ
＿＿耐えろ
＿＿耐えろ
汗がぶわりとにじんで気持ちが悪い。
「っぐ、」
＿＿ああ…耐えてばっかりで、もういやになる。
エ「おねえちゃん…？」
「…」
部屋にもどったあと、いつも通り飛び込んできたエリをだまったままずっと抱きしめていた。
エ「だ、…大丈夫？」
＿＿心が軋む、覚悟が鈍る、決意が歪む。
自分よりも小さな背中に手をまわしてその肩に額をのせた。
逃げ出すのを諦めるつもりなんかないよ。
…でも＿＿心が折れそうになる。
エ「……待ってて…！」
「え、あ…エリ？」
ベッドの方へ走って行くと何やらガサゴソといじりはじめた。すぐにこっちへ帰ってくると目の前になにかが出された。
「これは、」
エ「りきさく、です…！」
いい慣れない言葉に緊張したおももちでわたしを見る。
一枚の紙にクレヨンで描かれた絵。
「…これ、わたし？」
エ「うん…！おねえちゃんは、つよくてかっこいいから、えっと…きらきらしてて、…すっごくすごいの！」
両手を握りしめてほっぺを赤くしながら一生懸命わたしに伝える。
…＿＿
「えりぃ〜」
エ「わっ」
また抱きついた。
……そうだね、弱気になってちゃだめだ。
「よぉし！！おねえちゃん元気でたっ！」
エ「…！」
わかりやすく表情を明るくさせた。
「っていうかすごいよエリ！画家になれるよ画家に！」
エ「？？、が…か？」
「絵がうまい人のことだよ！」
もらった絵を上に掲げて見る。
「すっごく上手！ありがとう、エリ！」
エ「ほんと？…へへ、」
「ほんとほんと〜！将来有望だなぁわたしの妹は！」
エ「わー！」
エリの脇に手をさしこんで持ち上げる。
そしてそのままベッドへふたりで倒れこんだ。
「ねぇエリ、」
エ「なぁに？」
こっちへ寝返りをうってわたしをじっと見つめる。
「…どんなときでもわたしを信じてくれる？」
真剣に聞きたいことだった、…"今後"のためにも。そんな空気にエリも表情が変わった。
エ「…うん、おねえちゃんを信じる。」
むこうも真剣にそう答えてくれた。
＿＿……そっか
「じゃあおねえちゃん、頑張っちゃうぞ！」
とびきりの笑顔で宣言した。
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たんと(プロフ) - 前読んであの感想をもう一度！と思ったらやっぱり泣いてしまいました…素敵な物語をありがとうございます！ (2月12日 14時) (
レス) id: f0ade18a0c (このIDを非表示/違反報告)
赤い羽根募金ちゃま〜 - 11歳？...やべぇ、同い年だ...((((( (2022年12月1日 23時) (レス) @page24 id: 78bf642dad (このIDを非表示/違反報告)
pino(プロフ) - 葵さん» コメントありがとうございます！読んでいただいて、嬉しいかぎりです！ (2022年7月22日 0時) (レス) id: 16ca5ec74a (このIDを非表示/違反報告)
葵 - なんかもう…小説家になれるんじゃないですか？それくらい感動しました！ (2021年10月20日 7時) (レス) @page50 id: 6b19049b00 (このIDを非表示/違反報告)
pino(プロフ) - みづきさん» 泣いてくださったなんて、とても嬉しいです(*^^*)、コメントありがとうございました！ (2020年5月2日 23時) (レス) id: 7816ba7c93 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：pino | 作成日時：2020年1月7日 12時
