4.ヒーローは…＿＿ ページ5
治「あの姉妹の様子はどうだ。」
「よ、様子？…いつも通りです。」
死穢八斎會の若頭、治崎…またオーバーホールは自室にて姉妹の世話役に様子はどうかと問いかけた。
治「何でそんなことを聞くのか、とでも言いたげな顔だな。」
「！…い、いえ…。」
世話役を任されている治崎の下っ端は図星をつかれて思わず否定した。
治「気を抜くなよ、特に"姉"の方には気をつけろ。」
「…ですが、相手はガキですぜ？」
治「そこが問題なんだ。ガキだからといって気を抜けば出し抜かれるぞ。」
また疑問を浮かべる名前もよく覚えていない下っ端にため息をつくオーバーホール。
治「Aのことだ。前に一度"脱走"されていてな。」
「だ、脱走…！？」
治「ああ。」
あんなガキが？と世話役の男は驚いた。
治「出口を見つけてよく出れたものだ、その先にいた組員の数も少なくなかっただろうに。……実に賢いよ、あの娘は。ずっと脱走の機会を待っていたんだ。」
まだ11歳の女のガキが？本当に？この恐ろしい支配者を前にそんな事をしたのか、と世話役の男は心底驚いた。
治「まあそれも失敗に終わったがな。」
「へい…それは良かったです、すぐに捕まったんすね？」
治「ああ。…まあ、"Aにはいい体験になっただろうな"。」
「…？」
オーバーホールが強調して言う言葉に、男はただ首を傾げるだけだった。
＿＿
＿＿＿＿
エ「ねぇ、おねえちゃん。」
「ん？なあに？」
今日もこの部屋でいろんなことをしながら過ごす。
ふいに絵本を持ったエリがわたしへ話しかけてきた。
エ「"ひーろー"ってなに？」
その言葉に、ﾋﾟｸﾘと反応した。
ヒーロー……＿＿＿
『ひッ…ひぃ、！』
『わ、わかった、見逃す！見逃すから命だけは…＿＿＿』
エ「おねえちゃん？」
「…」
不思議そうに首を傾けるエリの頭を撫でる。
「"ヒーロー"、っていうのは悪いやつをやっつけて…困ってる人を助けてくれる人のことなんだよ。」
まるでそれは、魔法のことばみたいだった。困ってる人を助ける、わたしからしてみればきらきらしたことば…だった。
エ「ふうん…そうなんだ…。」
「…本によればそのはずなんだけどね。」
エ「？？」
よくわからないのかまた不思議そうにするその子の頭をこまった笑顔でわたしは撫でた。
「…"たすけてくれる"って、確かに書いてあったのにな…。」
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たんと(プロフ) - 前読んであの感想をもう一度！と思ったらやっぱり泣いてしまいました…素敵な物語をありがとうございます！ (2月12日 14時) (
レス) id: f0ade18a0c (このIDを非表示/違反報告)
赤い羽根募金ちゃま〜 - 11歳？...やべぇ、同い年だ...((((( (2022年12月1日 23時) (レス) @page24 id: 78bf642dad (このIDを非表示/違反報告)
pino(プロフ) - 葵さん» コメントありがとうございます！読んでいただいて、嬉しいかぎりです！ (2022年7月22日 0時) (レス) id: 16ca5ec74a (このIDを非表示/違反報告)
葵 - なんかもう…小説家になれるんじゃないですか？それくらい感動しました！ (2021年10月20日 7時) (レス) @page50 id: 6b19049b00 (このIDを非表示/違反報告)
pino(プロフ) - みづきさん» 泣いてくださったなんて、とても嬉しいです(*^^*)、コメントありがとうございました！ (2020年5月2日 23時) (レス) id: 7816ba7c93 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：pino | 作成日時：2020年1月7日 12時
