98 ページ8
自室に戻り、携帯を開けばメールが一件届いていた。
実はこの携帯、カズのものでもなんでもなく、私の母が仕事に戻る前に、必要になるだろうと急遽購入してくれたらしい。
つまり、この携帯は私のもので、さらに私が使い始めたばかりのこの携帯には何の情報もないのだ。
こんなことなら、雑貨屋さんで遭遇した女の子にアドレスを教えてしまえばよかった。
“江川琴美”
その文字に笑みを浮かべる。
“電話できる？”
電話する前に相手の状況を確認してくれるなんて、親切な人だなぁ。
すぐに、できます。と返事をしてベッドの上に腰をかけた。
すると数分後、すぐに電話がかかってきた。
「もしもし」
≪もしもし？急にごめんね≫
「いえ、大丈夫です！」
何度聞いても、清楚で綺麗なソプラノ声。
≪あのね、お願いがあるの……≫
「なんですか？」
親切にしてもらってるし、私にできることならなんでもやろう。
≪私の代わりに合コンに参加してほしいの≫
「えぇ！」
ご、合コン！？
あの男女がわちゃわちゃする例のやつ？
王様ゲームしたりするやつでしょ。
「無理です無理です無理です」
絶対無理、あのノリについていける気がしない。
≪お願い！
人数合わせだし、すぐに帰っても大丈夫だから！≫
「いや、でも……」
琴美さんが行ったほうが盛り上がるし。
≪知り合いにどうしてもって頼まれてて。
でも和也のこと、傷つけたくないから≫
「……あ」
そっか。
そうだよね。
琴美さんが行ったら、カズは絶対傷つく。
琴美さん、やっぱり素敵な人だなぁ。
あんだけ美人なのに一途なんだ。
「わかりました。行きます」
≪ほんと？ありがとう！≫
琴美さんなら、カズにあんな顔させない。
きっと、カズの心を大事にしてる。
もし、私にその手伝いができるなら、私も嬉しい。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2261人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
かおり(プロフ) - お願いですから、せめて1話だけでも書いてくれませんか… (2019年7月5日 13時) (
レス) id: 9aa4c2db67 (このIDを非表示/違反報告)
M(プロフ) - 更新…待ってます！ (2019年5月21日 1時) (レス) id: b29790e5ba (このIDを非表示/違反報告)
さいたん(プロフ) - 更新楽しみに待っています。 (2019年4月21日 16時) (レス) id: aceac62259 (このIDを非表示/違反報告)
涼杜兄妹(プロフ) - 切ない…今後どうなるのかとても気になります。更新楽しみに待っています、頑張ってください！主人公ちゃんがんばれ！！ (2018年3月12日 13時) (レス) id: 400e48a6ce (このIDを非表示/違反報告)
みーこ(プロフ) - 。・゜゜(ノД`)(。>д<)( ノД`)…(´д｀|||) (2018年2月14日 20時) (レス) id: 84fdbed2f6 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ふじしの | 作成日時：2017年9月30日 15時
