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「...あの、」
小さな声が聞こえたけど
もはや雑音レベルの声
俺じゃない、と無視をした
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「...すみません!」
と、いきなり言われて
慌てて空から目線を移すと
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大きな荷物を持った女の子
「...Aです」
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俯きがちに、そう名乗った女の子は
若々しいのにどこか大人びていた
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背丈は高くなっていて
高いと言っても、俺よりは10センチ以上小さい
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真っ白な肌、細い体
胸のあたりまで伸びた艶めいた髪の毛
少し薄く化粧がされた可愛らしい顔
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でも、くりくりした大きな瞳は変わってなくて
真「...A...やんな?」
俺が念押しのために聞くと
一つ、こくりと頷いた
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この数年だけで
ここまで女の子って、綺麗に成長するんや
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真「...あ、...とりあえず車乗って?」
Aの抱える荷物を取ってトランクに乗せて
俺は運転席へと乗り込む
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なぜかAはドアの前で立ち往生していて
俺は手を伸ばして、車のドアを開ける
真「どしたん、早く乗りや?」
そう言うと、躊躇いがちに
「...お邪魔します」
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車を運転しながら
ちらっと横目で隣に座るAを見る
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鼻高いな、とか
肌綺麗やな、とか
何だか落ち着かなくて、車のBGMをかけて
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『Hasta la vista la,Baby』
『赤く燃え盛る波打つ景色を砂に埋めて去る』
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あぁ、俺たちの歌やん
ちょっと自意識過剰って思われそうやな
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そう思って変えようとしたら
「...真司郎さんの、歌」
ぽつりと小さな声で呟いた
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真「知ってるん?」
「...よく聞いてます」
そうか、俺がいない間
Aは俺の声を聞いててくれてたんや
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そう思ったら嬉しくて、嬉しすぎて
ハンドルを握りながら思わず顔が緩む
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桃(プロフ) - まってましたあああ!!本当にありがとうございます生きててよかった (2021年1月4日 13時) (レス) id: 891670169f (このIDを非表示/違反報告)
はるか(プロフ) - 更新楽しみにしてます!Twitterとかしてますか?? (2019年12月3日 0時) (レス) id: a54df85738 (このIDを非表示/違反報告)
もなみ - 久しぶり更新本当に楽しみにしてました (2018年12月11日 0時) (レス) id: 45f78a918e (このIDを非表示/違反報告)
もなみ - いいところでストーリー終わらせますね! (2018年10月28日 20時) (レス) id: 45f78a918e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:なな | 作成日時:2018年10月28日 14時