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いつもより、力強く。
だけど悲しそうなその歌声は、空気を震わせ辺りに響き渡る。
歌声がただ、響いているだけ。
兵士やグルッペンが耳を塞いでいる中、それが遅れた兵士が絶望的な顔をするが特に何も起きない。それを見て不審そうに、彼らも耳を塞ぐのをやめた。
歌には何かの力がある。何も起きないはずがないのに…
「A…？」
大先生やシャオロン、トントンも困惑してAを見る。俺の呼びかけにも答えず、彼女はただ歌い続けていた。
『ーーーー♪』
その時、彼女を止めていたら未来は変わっていただろうか？
だって、気づいた時にはもう既に遅かった。一瞬、地に低い音がしたかと思えば動けなくなってたのだから。
「えっ…？」
「ふぁ！？」
「うわっ！？」
「なっ…？！」
それは、草の蔓。幾重にも伸びたそれが、俺らの足の自由を奪っていた。俺ら"4人"の。
「ちょ、なんなんこれぇ？！」
大先生が喚く中、歌が止まる。
彼女の方に行きたいのに、蔓はとても頑丈で切ることもちぎることもできない。
「何、して…」
間違いない、きっと彼女の歌がこれを引き起こしている。俺らだけ、拘束する、その意味は。
「A！ダメ！」
「Aちゃん、そっち行ったらあかんって！」
彼女は、しっかりとした足取りで前に進む。その先にいるのは、俺らに対峙していたーーー
「ほお、自分から来たか？」
グルッペン。
『私は、争いは望まない。だから』
違う、ダメだ。そんなの。
『彼らに剣を向けるのはやめて？』
「お前がいなくなればやめるだろうな」
その言葉にAは、安堵したように微笑んだ。ダメだこんなの、だって！
「何してんのA、早く逃げないと！」
「あかん！グルッペン、そいつに手を出すな！」
「グルちゃんやめーや！」
「Aちゃん、戻ってきて！」
「だ、そうだが？」
グルッペンの前に立つAは、その問いに無言で答える。
「何か、言い残すことは？」
くるり、と俺らの方を向いて。
『楽しかったよ！』
いつもの、笑顔で。
『ありがとう』
Aは笑ってーーー
「やめ…！」
俺が、守るって言ったのに。
大丈夫だって言ったのは、俺なのに。
結局、何もできなかった。
ただ彼女を追い込んでしまった。
俺がAをーーー
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あさぎ(プロフ) - 兎さん» ありがとうございます！そう言って頂けるとなによりです、がんばります！ (2018年5月28日 18時) (
レス) id: 14bed239fb (このIDを非表示/違反報告)
あさぎ(プロフ) - お餅さん» ありがとうございます、wrwrd!の皆さんのかっこよさが引き出せていたなら嬉しいです…！ (2018年5月28日 18時) (レス) id: 14bed239fb (このIDを非表示/違反報告)
兎 - 面白い！更新頑張ってね〜 (2018年5月27日 16時) (レス) id: 35388e6f70 (このIDを非表示/違反報告)
お餅 - 面白いですね！みんなかっこいい...これからも更新頑張ってください！ (2018年5月21日 18時) (レス) id: 8d87a6fb69 (このIDを非表示/違反報告)
あさぎ(プロフ) - CAさん» ありがとうございます！更新ゆっくりで申し訳ないですが、そう言って頂けると、とても励みになります…！ (2018年5月21日 1時) (レス) id: 14bed239fb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あさぎ
作成日時：2017年8月30日 18時
