第4夜 ページ5
＊
暗い。
少女が目を覚ましてまず思ったのは、これだった。
ここは地下牢だろう。天井に目を向けたまま、彼女は確信した。
「起きたか」
低くてハリのある声が鼓膜を震わせる。少女はゆっくりと起き上がり、鉄格子の向こうにいるその声の主を見やる。
金髪を綺麗に整え、青い瞳を持つ背の高い男だ。
「早速だが...君の名前は？出身は？」
少女はじっと男の目を見つめる。
暫しの沈黙が流れた後、ようやく開口した。
『...名は自分から名乗るものでは？いくらなんでも失礼だとは思いませんか』
眉ひとつ動かさず、表情を変えることなく言いのける。
なかなか肝が座っている。男は感嘆するように息を付き、笑みを浮かべた。
「これは失礼。私は君の件を任された、エルヴィンだ。エルヴィン・スミス」
『エルヴィンね...私はA』
「Aか...いい名前だ」
『そう...ありがとう』
牢の中の少女の顔に、僅かに柔らかみが出た。
『それで。なんで私はこんな牢にいるんですか？』
何故、か。理由を知らないのか。
「無許可で巨人領域に足を踏み入れた罪だ。空を飛んだ...という罪もだな」
『...初耳』
確かにこの法が適用されるのは、エルヴィンの知る限り初めてだ。シャーディスは2人目か...と呟いていたが。
「そうか。だが知らなかったでは済まされないからな」
『それよりも巨人って何かの種族ですか？』
「...は？」
彼女の突飛な質問に、思わず間抜けな声が出た。
「巨人は...巨人だ。人間を食らう」
Aは首を傾げる。
『人間が食料なんですか？』
「食料...といえるかすら分かっていないな」
『...分からないことだらけの種族、と？』
核心をつくような発言に、エルヴィンは押し黙った。
彼女は彼を直視したまま、難しい顔をする。
『“巨人”の他に、人間を食料とする種族は？』
「...いや、今のところ発見されていない」
『...そう』
眉間に皺を寄せ、彼女はそれきり沈黙した。
エルヴィンは、本来の事情聴取に戻ろうとする。
「...出身は？」
『...知らない』
「家は？」
『知らない』
「職業は？」
『知らない』
「...知人は？」
『知らない』
全て知らないと答える彼女に、エルヴィンは深いため息をついた。
「...本当に、知らないのか？それとも言いたくないのか？」
『下手な嘘をつくよりはずっといいかと思って』
どうやら彼女は、事実を語る気はさらさらないらしい。
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練紅龍(プロフ) - らんまるさん» ひぃぃありがとうございます！嬉しくて動悸が...！コツコツでもなんでも頑張ってくっきゃないですね！(｀ω´) (2019年6月17日 21時) (
レス) id: 308444a36a (このIDを非表示/違反報告)
練紅龍(プロフ) - かまぼ子さん» ありがとうございます！キノコはそこらじゅうに生えてます。その一部の頭に生えていた分をとりました|彡ｻｯ！ (2019年6月17日 21時) (レス) id: 308444a36a (このIDを非表示/違反報告)
らんまる - こういうのを誰かやってくれると思ってました。想像以上に面白くて更新が楽しみで仕方ありません。ゆっくりまったりお待ちしておりますので、これからも頑張ってください！(*^^*) (2019年6月16日 22時) (レス) id: 1ad8a87860 (このIDを非表示/違反報告)
かまぼ子(プロフ) - ハンジとの絡みがかなりハマりました。きのこは頭に生えてる感じでしょうか？更新楽しみにしてます^o^ (2019年6月16日 20時) (レス) id: 48e845b0f0 (このIDを非表示/違反報告)
練紅龍(プロフ) - 桔梗さん» とても嬉しいです！ぼちぼち更新ですが、励みになります。 (2018年10月16日 22時) (レス) id: 308444a36a (このIDを非表示/違反報告)
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