第11夜 ページ12
＊
調査兵団が戻ったのは、その日の昼過ぎだった。
牢のある建物内の人間の足音が、いつもよりも忙しない。
...人がたくさん死んできたんだ。当然か。
なんて、石の天上に向かって息をはく。
顔見知りだけ心配するのもなんだが、エルヴィンやリヴァイは生きているだろうか。
読んでいた本を持つ指先が白む。
無事を祈りながら 黙って待っている というのは、こんなにも焦れったいものだったか。
彼らに任せきりで、無力な自分も腹立たしい。
馬の蹄の音が近づき、人々の嘆く声も大きくなってくる。
一人、また一人と...大切な人を失った者達が増えていく。
...残された者は、ちゃんと、立ち直れるだろうか。
...とは言っても、目に見えていない者の想像をするのは失礼か...
...嗚呼。
リヴァイとエルヴィンには、数日は会えないんだろうな...
＊
数日後のある夜。
静かな牢屋にコツコツと 石畳を叩く音がした。
「...おい」
Aの前で止まったその音の主から、低い声が発せられた
『___あ、リヴァイさん...！』
上げた顔が輝く。
ばたり と読みかけの本を少し雑に閉じ、可能な限り格子に近寄る。
彼女の手首にある枷が、ジャラリとなった。
『お疲れ様でした。リヴァイさんは...ご無事なようでよかったです。エルヴィンさんは？』
数多の死人が出た遠征帰りに、素直に無事を喜ぶわけにはいかなかった。
Aはエルヴィンの安否を聞く。
リヴァイは少しの間を置いて、答えた。
「...書類整理をしている」
『よかった...』
雑務もこなせる程なら、大きな怪我はせずに帰還してきてくれたのだろう。
2人の帰りはAにとって、単純に嬉しかった。
ふと、Aはリヴァイの手に抱えられているものを見る。
『それは...？』
彼は格子の隙間から、持っていたものを差し出した。
「歴史書と 兵の座学で使われる教科書だ」
歴史書、教科書。
『い、いいんですか...？』
「...俺に聞くな。エルヴィンに顔見せるついでに渡してこいと言われたから 持ってきただけだ」
それだけ述べると、彼は背中を向けて立ち去ろうとする。
『あ、あの！ありがとうございます！』
遠ざかる背中に聞こえるくらいの声で、礼をする。
この類の本。
国の内情が細かく書かれているため、敵というか 外から来た信頼しきれない者には見せないはず。
嬉しさがじわじわと広がり、彼女は本を抱きしめた。
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練紅龍(プロフ) - らんまるさん» ひぃぃありがとうございます！嬉しくて動悸が...！コツコツでもなんでも頑張ってくっきゃないですね！(｀ω´) (2019年6月17日 21時) (
レス) id: 308444a36a (このIDを非表示/違反報告)
練紅龍(プロフ) - かまぼ子さん» ありがとうございます！キノコはそこらじゅうに生えてます。その一部の頭に生えていた分をとりました|彡ｻｯ！ (2019年6月17日 21時) (レス) id: 308444a36a (このIDを非表示/違反報告)
らんまる - こういうのを誰かやってくれると思ってました。想像以上に面白くて更新が楽しみで仕方ありません。ゆっくりまったりお待ちしておりますので、これからも頑張ってください！(*^^*) (2019年6月16日 22時) (レス) id: 1ad8a87860 (このIDを非表示/違反報告)
かまぼ子(プロフ) - ハンジとの絡みがかなりハマりました。きのこは頭に生えてる感じでしょうか？更新楽しみにしてます^o^ (2019年6月16日 20時) (レス) id: 48e845b0f0 (このIDを非表示/違反報告)
練紅龍(プロフ) - 桔梗さん» とても嬉しいです！ぼちぼち更新ですが、励みになります。 (2018年10月16日 22時) (レス) id: 308444a36a (このIDを非表示/違反報告)
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