32.涙以外に選べるものがないんだ ページ33
どんな感情だ、これは。
Aは廊下で1人、何も考えられず頭を抱えしゃがみこむ。
Aは自分の立場がわからなくなった。
どうすべきかわからなくなった。
悲しんでいいのか？申し訳ないと思っていいのか？
死んで詫びるべきか？
耐えられなかったのだ、彼は。
「何に…何に…？誰に…？」
自問自答を繰り返す。
彼は、アルミンは、何に、誰に耐えられなかったのか。
そこまで考えて、ふと思いつく。
彼を苦しめる原因として挙げられるもので、未だに生きてそばにいるものなど───
「わたししか…いないじゃない……。」
先輩たちは、もういない。
巨人関連の情報から隔離されている彼が、壁の外には当分出ないことを約束されている彼が、
巨人に怯えこのタイミングで死を選ぶか？
いいや、ありえない。
ここには、私しかいないのだ。
わたしの、せいだった。
わかっていた。それでも。ずっと向き合えなかったものだった。
それなのに、あろうことか、1人だけ幸せになろうとなんかして。ばかみたいだ。なんて愚かなんだ。
でも、どうしようもなかった。だって、私だって、少なくとも、私も、同じくらいのつらさを……
いいや、こんなのは言い訳だ。
さよならの代わりに告げる言葉を1つだけ選べるとしたら、何を選ぼうか。
何を選べばよかったのだろう。でも、でも、私は……
「…あのさ、A。泣かないでくれよ。
ミカサは、俺がなんとかするから。」
あたたかい声に反応して、Aが少し顔を上げる。
冷え切った大きな手が、Aの涙をぬぐった。
Aに合わせ、しゃがみ込んだ姿勢でAを真っ直ぐ見つめていたのは、エレン。
「……ごめん、な、さい……。」
Aは見つけられない。エレンに対してなんと声をかければいいのか、わからない。
「なんでお前が謝ってんだ？いつもは俺が謝ってんのにな、はは。
…お前はいっつもそうだ。そうやって勝手に泣いて。
お前をまた泣かせたって、怒られるのは俺なんだからな？」
そうやってエレンは少し寂しそうに笑う。
「勝手にって…なに……酷いなぁ…。」
絞り出したAのいつものセリフ。
Aの無理矢理の笑顔は、少しだけA自身の心を軽くしたけれど
あの時に縋るようで
現実から目を背けるようで
少し息苦しく思った。
エレンとどんな話をしても
どうしても涙だけが止まらなかった。
さよならの代わりに告げる言葉を1つだけ選べるとしたら、何を選ぼうか。
私は……
ラッキーカラー
あずきいろ
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kpopオタク - 凄く面白くて感動して一気に読んじゃいました！ (12月11日 21時) (
レス) @page37 id: a5424db4d7 (このIDを非表示/違反報告)
yukino - 感動しました 最高です 「今すぐ逃げ出したい」のところが泣けました (2021年8月25日 13時) (レス) id: 4aa75672df (このIDを非表示/違反報告)
sunny(プロフ) - Noahさん» 読んでくださってありがとうございます！そのように言っていただけて幸せですとても励みになります…；；今後も頑張ります！ここまでお付き合いいただきありがとうございました！！ (2019年1月14日 16時) (レス) id: ef45997a73 (このIDを非表示/違反報告)
Noah(プロフ) - ほんとにほんとに面白いです！大泣きしました笑笑私はSunny さんの作品が大好きです！これからも頑張ってください！ (2019年1月13日 20時) (レス) id: ce4a985f40 (このIDを非表示/違反報告)
sunny(プロフ) - 雨屋まほろさん» コメントありがとうございます！！そう言っていただけて本当に嬉しいです…自信をなくしていたのでとても励みになりました；；読んでくださって本当にありがとうございました！そして私の方が好きです！(？) (2018年11月21日 19時) (レス) id: ef45997a73 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：sunny | 作成日時：2018年10月22日 21時
