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夢の続きをくれたのは、あなただけだったよ ページ6

ヒュ、と息ができなくなって目が覚めた。
冷や汗をかいていてびっしょり背中がぬれていた。
内容はおぼえていないけど、怖い夢をみた。


隣に眠る将人を見てみる。すやすやと寝息をたてて眠っていた。起こすのも悪いと思って静かに布団からでる。台所へ向かいコップに水をいれた。ひんやりとした水を一口含むと、あの怖い夢から少しでも覚めたような気分になった。どんな夢を見ていたかは覚えていない。でもとてつもなく気分が悪い。背中がぞわぞわとして怖い。今まで知らなかった恐怖を味わっているようだった。
コップの残りを喉に通す。早く寝て全て忘れてしまおうと思った。


.


何度寝返りをうっても寝れない。気分が優れないままだった。時間を見れば深夜で、明日もあるし早く寝なければと思うほど怖い気持ちも膨らんできて、また怖い夢をみたらどうしようと年甲斐もなく思った。夢にこんなに振り回されるなんて本当に何歳なんだと言いたくなるけど恐怖は恐怖だ。幼いころにみたお化けの夢なんかよりももっと得たいの知れない怖いものをみた気がした。人の恐怖なんてどうってことない、逆に人の負の感情を愛してしまうような、そんな恐ろしいものが出てくる夢。私が恐怖におののいている様子を見てその怖いものは確かに、悪意を持って口角を上げた気がしたのだ。恐ろしかった。

考えれば考えるほど眠れなかった。ゴロゴロ体勢を変えてみても眠れない。いい加減あきらめて起きるか、と体を持ち上げようとした時、ぎゅ、と暖かいものに包まれた。

「眠れないのか。」

彼も微睡んでいるのか、口調が普段より幾分も緩い。私を優しく抱き締めて、あやすように頭を撫でた。

「怖い夢を見たの。」

からかわれるかと思ったけど、そんな様子はなく、「落ち着いてみろ」なんていってトン、トン、と私の背を叩いた。
あたたかい。彼の心臓の音が聞こえる。彼の優しい匂いがする。
彼のパジャマをぎゅっと掴んだ。答えるように優しく撫でてくれた。早鐘のように打っていた私の心臓もいつの間にか落ち着いていて、恐怖に支配されていた心もどんどんその波は引いていっていた。
だんだんとまぶたが重たくなってくる。

「まさと、どこにもいかないでね。」

「いかないよ。」

青白い月明かりが室内を照らす。
互いに抱き寄せ合う私たちをそのまま夢の世界に誘った。

・→←もうこの唇に触れるものはない



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かたよせ。(プロフ) - 見にくい (2019年9月17日 6時) (レス) id: fc6576e6c4 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:らる子 | 作成日時:2019年9月15日 19時

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