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彼は彼なりに､娘の願いを叶えてあげようとしていたのだろうか｡Aには正直出会ってから一度も見えていなかった｢父｣としての顔が､この時初めて見えた気がした｡
けれど､不器用すぎてただ言う通りにここへ連れてくることしか出来なかったのだろう｡
｢この子の気持ちはどうなるんだ！？｣
｢ちょっとおじさん大きな声出さないでよ！！｣
｢子どもたちが怯えます｡感情的になるのはやめてください｣
｢私に指図するな｣
｢いいえ！はっきり言わせていただきます｣
いつも以上に食い下がるAに､俊平達は目を丸くして驚いていた｡彼女がこんなにも誰かに抵抗するのは初めてだった｡
｢あなたは､少しでもいつきちゃんが､｢どうしてここへ来たがったのか｣､ちゃんと理由を聞いたんですか？
いつきちゃんが何を思って､どう感じてここへ来たいとあなたに言ったのか｡いつきちゃんの目を見て､向き合って､ちゃんと話したんですか？｣
｢……なんなんだあんたは､偉そうに｣
｢私はただの保育士です｡まだ未婚だし､子どももいません｡だけど､子どもたちの気持ちを汲み取る目は人一倍持っているつもりです！｣
強い意志で見てくるAの瞳を黒崎もじっと見つめ返す｡お互いに膠着状態になりそうな中､ポンっとAの肩を叩いたのは礼だった｡
｢彼女の言う通り､娘さんのお気持ちはお父様が聞いてあげてください｡そして､ちゃんとお互いに話し合ってください｣
｢……じゃああんた達はどうなんだ｡あんた達はみんなあの小さな子ども達と話し合ってシングルになったのか？｣
｢黒崎さん､あのそれは……｣
｢もういい！！｣
黒崎の言葉に流石に聞いていられなかった俊平が止めに入ろうとした時､いつきが声を張り上げた｡
その声は悲しそうに部屋中に響き渡ったあと､いつきは消え入りそうな声で｢もういい……｣ともう一度呟いた｡
｢もういいってなんだ？お父さんはお前のために……！｣
｢だったらもう！……帰ろう……？｣
いつきの言葉に､黒崎もこれ以上何も言えなかった｡
そして自分の椅子に置かれた鞄を手に､静かにA達を見る｡
｢……赤の他人同士が家族だなんて……所詮は脳天気な学生が考えそうな､ただの理想だ｣
冷たくそう言い放って､黒崎は一人先に階段を降りていく｡
そして残されたいつきも自分のリュックを肩にかけると､陽達の部屋の方へと向かった｡
隅っこで固まっていた陽達に歩み寄ると､いつきは穏やかに話しかける｡
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とも(プロフ) - 楽しかったですー(^ー^)!!!今後の続きも楽しみにしてます♪ (2021年9月12日 0時) (
レス) id: ff2a1100bf (このIDを非表示/違反報告)
神ちゃんGirl(プロフ) - 待っていました！ありがとうございます！ぜひスローペースになってもいいのでぜひ続けて書いてください！ (2021年9月8日 16時) (レス) id: 651e60b3e1 (このIDを非表示/違反報告)
はろ。(プロフ) - たのしみに待ってます！ (2021年9月8日 1時) (レス) id: 553ee9b60b (このIDを非表示/違反報告)
言ノ葉(プロフ) - 優衣之助さん» コメントありがとうございます！少しスローペースになるとは思いますが､頑張ります(´∀｀*) (2021年8月18日 20時) (レス) id: ebcac45cbc (このIDを非表示/違反報告)
優衣之助 - 待ってました！いやーこの後の物語も楽しみです！待ってます！頑張ってください！ (2021年8月18日 1時) (レス) id: 6e2a5698bc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：言ノ葉 | 作者ホームページ：https://twitter.com/ShinyStars1029?s=09
作成日時：2021年8月18日 0時
