Four Season〜2nd〜

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｢だから､大丈夫｣とAはもう一度ぎゅっと握る手に力を込めた｡
Aから伝わってくる熱に､真冬は少し心が和らいだ気がした｡









｢バスケが……したいです｣

｢すれば？｣

｢1人でやったってつまんねぇだろー！？
みんな期末期末ってさー！なんだよちょっとくらい付き合ってくれたってよくね！？｣

｢我慢我慢！テスト出来なかったらバスケ出来る時間減っちゃうぞ？補習地獄だぞー！｣

｢可愛い笑顔して縁起でもないこと言わないで！！｣

｢いや､言ってること大体合ってるし｣


期末前ということで自習になった教室内で､大袈裟に嘆く板谷に上ノ山と植木はクールに突っ込む｡
そんな中､Aはふと口数の少ない上ノ山を見る｡
ライブが近づくにつれて､上ノ山はぼーっとするようになった｡
何となく事情を知っているAは､声をかけていいものやら悩む｡
何より驚いたのは､上ノ山がギターを持ってこなかったこと｡
練習が無くても絶対に持ってきてたのに｡
そんなAの視線に気付いたのか､話しかけるよりも先に上ノ山が声をかけた


｢……？なに｣

｢え？あ､いやその…､ライブの準備忙しいのかなって｣

｢え？｣

｢期末捨てても､ライブは行くからな！！｣

｢おう……｣

｢捨てんな｡世界史70点以下は課題提出らしいぞ｣

｢げ！？マジ！？｣


小さく返事を返した上ノ山は､また直ぐに俯く｡


｢りっちゃん､大丈夫……？｣

｢え？お､おう…｣

｢……はい｣

｢は？｣


Aがコロンと上ノ山の机に置いたのはミルク味の飴｡


｢疲れた時には甘い物！ってね｣

｢…………｣

｢あー！Aさん！俺にもちょうだい！｣

｢うん､どうぞー！植木君も｣

｢サンキュ｣


貰った飴を眺めながら､上ノ山は固まっていた表情筋が少し緩むのを感じた｡
真冬を好きだと気づいてしまった日から､どうも上手くいかない｡そんな様子のおかしい自分を､Aは心配して元気づけようとしてくれる｡


(もし､もしAが俺の気持ちに気付いたら)


今のように､笑って話しかけてくれるだろうか……｡
















＊＊＊＊＊＊


そんな中､季節は梅雨に入る｡
雨模様の天気が続いたある日のこと｡


｢今日も洗濯物は室内ですなぁ……｣

｢くーん｣

｢タマちゃんもお外で遊びたいよねぇ？｣

｢あんっ｣


うりうりと毛玉を撫で回しながら､Aは外の雨に憂いていた｡


｢雨は､あまり好きじゃないんだ｣


　

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