鞭声粛粛 日々脳内 藤へ北へ

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= side K =


「あ･･･ 起きたの」

音もなく開いたドアから 入ってくるアイツ。


「どう？ チョットはラク なった？」

低い位置から見上げる 顎のラインも
当たり前みてーに 俺のデコに伸びてくる
その 細い手首も しなやかな指先も。

俺の心拍数を上げてくるだけで
ちっとも･･･
ラクになんかなれねーっての。




「ふ･･･じ･･」

上手く喋れねーのは
寝起きで 喉が乾いて 引っ付いてっから。
オマエの手のひらが
首筋に降りてきたから なんかじゃ ねぇ。


「ん、良かった。熱 下がったみたい。
はい、お水。ソレ飲んだら･･･」

ベッドサイドの小さなチェストに
コトリと置かれた プレート。

洒落たボウルと ペットボトルが見える。
どうせ ひとつ覚えの 雑炊が入ってんだろ。

藤ヶ谷んちの お洒落なソレらは
《お椀》でなくて《ボウル》、
《お盆》でなくて《プレート》らしい。

何で こう毎度毎度 俺が具合悪くなるたびに
スマートに 何でもこなしやがるのか。

グループの仲間ってのは･･･
シンメってのは 私生活 こんなだったっけか。
急激に近付き過ぎた アイツとの距離に
何で俺だけ こんなアタフタしてんのよ。




布団からズリだそうと うにうにしてる俺。
の、頭の上から

「･･･ エアコン、いったん切るね。
そと、涼しくなったし 空気 入れ替えるわ。」


と声が掛かったと同時、
ガラって音と一緒に ぬるい空気が
窓際のヘッドボードに 流れ落ちてくる。





.






「･･･ あ ･･･」

「どした？ きたやま？ 大丈夫？」



カラダをナナメに起こしかけたまんま。
固まっちまった俺に
慌てて藤ヶ谷が 寄ってくる。




「･･･こ ･･･れ。」

「え？なに？」

「この 匂い･･･」


俺の 言いたいコトに気付いたんだろ。
心配げに下がってた眉の端が
シマッタってつり上がったまま 貼り付いた。

.

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