鞭声粛粛 日々脳内 藤へ北へ

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= side F =

まくれ上がったTシャツ1枚で
すよすよ 寝息を立て始めた幼い顔を
じっと眺める。


『キモチ悪りぃだろ？』

そう言って へらっと笑う《自虐クン》は
頑なに 赤く爛(ただ)れた胸を隠そうとする。

ベッドの中でも。



(キモチ悪いとかって･･･バカじゃないの？)

そんなコト 思うハズないだろ。


その赤い胸は 北山が頑張ってきた証拠。
どんな時も 手を抜かないで 全力で。

人懐っこそうに見えて
ホントは ガードが硬い照れ屋だって知ったの

･･･けっこう早い時期だったよな。


お互い 仕事最優先で オトナになったから
思う様にならないコトも多いけど･･･

現場は違っても 風邪気味の北山が
熱出してんじゃないかって心配できる関係に、
こやって 弱った北山を同じ枕に頭うずめて
気遣ってあげられる関係に、
俺の人生の半分が 練り込められてるし
俺の人生のこれからも そうしていきたいって
･･･思ってる。


いつまで経っても カワイイ。
けど、幼いままの寝顔に 今までの年月が
シッカリ皺として刻まれてるのを見れば、
息が詰まるくらい 愛おしいのと同時に
自分を大切にしろ、ずっと健康であれ なんて
保護者みたいな感情が 湧いてくる。




.

てか さ。
だいたい、胸と肩周りしか Tシャツ着てないし
そっから下が スッポンポンって方が
色んな意味で 痛々しいってか 笑えるってか･･･


そろっと起き上がって
ベトつく身体を 軽くティッシュで 拭う。
そのあと 用意してた濡れタオルで
脚の付け根や 下腹を丁寧に拭き取って。

(ま いっか、このままで)


寒い時期なら きっちり服も着せなきゃだけど
今は 寝てるだけでも 汗ばんでくる季節。

Tシャツの裾で お腹を隠して
その上から ふわもこタオルケットを掛ければ

「ぅん、んん。」

ぷすぅーと枕に 息吐いてから 寝返りをうつ
《下半身裸族》。

コッチ向いた寝顔が あんまりキモチ良さそう
だったから。

Tシャツの首元を 指で下げて
本人が キモチ悪いって言う
《赤い負い目》ギリギリに 唇を落とす。




(キモチ悪いワケ･･･ ないじゃない)



しばらく 朝は ご飯炊かなきゃって思いながら
ぷすぷす息を吐くカタマリを 胸に抱き込んで
目を閉じた。

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