はむ・ハム・チェリー 3

100 K side 離れて 1 ページ31

ヴィーン、ヴィーン//

ヴィーン、ヴィーン//



アタマの上で 避難しろって
警報音が 騒がしく鳴り響く。

だんだんデカくなってく音に
あー、俺が始末しなきゃいけねー音だと
気付くんだけど･･･



「･･･ん、んぅー」

なんしか カラダが重くて 腕も上がらねぇ。


早く 騒音を 止めてやらないと。
隣のヤツが 起きちまう。

分かっちゃいるのよ？


ただ この接着剤で くっついたよな瞼を
どやって 開けたもんか。

瞼のウラで 目玉だけが
ウロウロと 活動を始めた時、

左側のマットレスが 軽く沈んで。

体温が動く気配と共に
騒々しい避難警報が 解除された。





(あーあ、やっぱ ムリだったわ)


デカい警報音は 俺のスマホのアラーム。

ソレが鳴ったってコトは
今が 朝の4時ってコトなワケで、

俺は チャッチャと起きて
出掛ける支度をしなきゃなんねーって
コトなワケだ。





今日から 10日間。

ツアー直前だっていうのに
俺は グループから 1人離れて海外公演に行く。

振りや 演出、衣装の最終確認やら
やるコト山盛り 残したまんま
戻って来んのが ライブの前々日っていう
超ありえねー スケジュール。


メンバーにも スタッフさん達にも
めちゃくちゃ 迷惑掛けてんの 分かってる。

そんでも、皆んな
気持ちよく 俺を 送り出してくれた。


《みつの スキルに なるんなら》

《みつの頑張りが グループの肥やしになる》

《留守の間、しっかり詰めとくから》


忙し過ぎる 俺の体調まで 心配するっていう
余裕の気遣いまで貰った 昨日のリハ。




.




そんで、今は･･･


太輔んちのベッドで 朝を迎えたワケ だ。



俺が ハムになるのを
実は 心待ちにしてんじゃねーかって 様子の
太輔だったのが･･･

今は そうじゃない らしい。




シェアハウスで メンバーにバレて以来、
俺に べったり 引っ付いてくる。


グループの仕事ん時は
メンバーの前で 平気で「ヒロ」って呼ぶし･･･

近い。

やたら 距離が近いんだわ。
着替えてる時も、差し入れ 食ってる時も
待ち時間中も。

アイツの匂いが 移るんじゃね？
ってくらい 常に側にいたりする。


仕事が別々の時でも･･･
必ず 毎日 顔を合わせるようになった。

たまに 俺んちのコトもあるけど
ほぼほぼ 毎日、太輔の家に《帰る》
みたいなコトに なっちまってる。


んで。

忘れるか 忘れないかのうちに
お互いの《スス》を 浴びせ 浴びせられ。


俺は カラダの奥まで
《アイツ》を 貰う。

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