はむ・ハム・チェリー 3

87 Y side 眠り姫 2 ページ18

「ちょ、チョイ 待ってて。
寝てるかも 知んないし？
お、俺が 先に様子見るから。
ほら、しんどいのに ビックリさせたら･･」


右手にドアノブ、左手に氷枕。

自分だけ 先に部屋に入ろうとする
挙動不審な 太輔を
皆んなで 押し込みながら 部屋になだれ込む。





(あ･･･)


ベッドの上。
布団から 小ぶりなアタマだけが 見えてる。

いつも見慣れた 幼い顔は 目を閉じてて。
ゆるく開いた唇は
熱い息を こまぎれに 吐いてるようだ。






「みつｯ！ 戻ってんじゃん！」

いちばんに 駆け寄って
そのカタチを 確かめるように
両手で 頬を挟んで 撫で回す ニカ。



「うわ、あっつ！ みつ、スゴい熱い！」


「ん･･･ふ じ･･･ ﾝあ？」


頬を覆う温もりに 手を重ねれば
自分が思ってたモノとは違うと 気付いた･･･

そんな感じで 虚ろな目が泳ぐ。




「･･･ に ･･･か？」

「もう、なに？ オジサン 大丈夫なの？
熱 高いじゃん。病院 行かなくてイイの？」

ニカが 心配そうに 重ねられた手を握る。


(熱･･･ あ！ 氷枕！)



イチバンに 部屋に入ったハズの太輔は･･･


部屋の奥、一つしかない窓を 引き上げて
氷枕をパタパタ振り回してる。


(･･･ 何やってんだ？)


「おい、太輔！ 窓、寒いだろ！」

「い、いや･･･あの、その、」

みつ が 凄く汗かいてて 暑そうだから とか
息苦しそうだから とか。
イミフな イイワケを まくし立てる太輔。



「ガヤさん、ほら、氷枕。」

宮田が 窓際から 枕元へと 太輔を押しやって
窓をパタンと 降ろした。


.






「ヒロ･･･冷やそうね。アタマ 上げるよ？」


その腕が 宝物を抱えるように
スッと 小さな頭の下に 差し込まれると
へにゃりと チカラの抜けた 笑顔を返す みつ。


そう･･･ だな。

その 温もりが
みつ の待ってたモノなんだよな。

そんだけ 太輔のコト信頼して
太輔が 特別なクセに。


なんか みつ からは
いつも 不安定さを感じてる。

仕事や 俺達グループに というんじゃなく
こと、太輔に関して だ。



熱が高いのも いつものこと、
寝てれば 心配ないから
という太輔の言葉を 信用して
俺達は 2人を残して 部屋を出た。


たくさん 眠って。

早くよくなれば それでイイ。



.






「･･･なんか･･･ オトナな匂いがした。」

そう呟いた たま を
宮田が 優しく小突いてたのは


見なかったコトにしよう。

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