はむ・ハム・チェリー 3

111 K side 欲しがりだもん ページ42

遠征の疲れと熱を
引きずっちゃあいたが
大阪の3日間が 終わり。

福岡も無事こなして
いよいよ ラストの東京4日間が
始まろうって 楽屋。




シェアハウス以来
俺が ハムになったこたねぇ。


太輔 曰く、今の俺は 満たされてる らしい。


アイツは ハッキリ 言いはしねぇけど、
俺が ハムんなったのは 俺に原因がある と。

太輔を求めて 寂しがる
俺のメンタルに 関係してんじゃねーかって
やんわりと 俺に伝えてくれた。



『もけもけのヒロに会えないのは
ちょっと残念だけど さ、
俺が好きなのは《ヒロ》だから。』

人間でも ハムスターでも、
おっきくても ちっちゃくても。

《ヒロは カワイイ》《ヒロ大好き》
なオーラを 毎日出されてちゃあ
これで良かったんだよなって。

これが 満たされてるってコトで
正解なんだろな･･･ なんて な。へへ。



.







「あ、そうだ！
コレ、遅くなって スミマセン。」

楽屋に来た 田所さんが出ていく間際、
スッカリ忘れてたって 太輔に手渡したのは
事務所宛てに届いたという 郵便物。

宛名には 俺達グループの名前。
差出人は「柳原 慶子」って書いてんだが
すぐには ピンてこなくて。

誰だっけかと 思ってるうちに
太輔が 取り出したのは
手紙に包まれた たくさんの写真。



「うっわ！ カワイ！ あん時の？」

大げさに喜ぶ アイツの声に
あっちゅーまに 寄ってくるメンバー達。


「何なに？ あっ！シェアハウスの写真！」

「けーこさんから？ 」

太輔の手には
ハウスの広いラウンジで ピザ食ってる
俺達がいる 写真。

ま、俺は ハムの姿なんだけどもな。



「見て見て、凌くんっ！カワイー！」

「りょうくん だっけ？
ガヤさん よく名前 覚えてるね。」

「たりまえじゃん、宮田 覚えてないの？
こんな カワイかったのに？
ほら、見てよ、この カワイイ手！」



･･･ ん？

何か 胸のあたりが ゾワついた。




「俺、マジでさ、連れて帰りたいくらい
カワイイって なったし。」

「ガヤ、それ犯罪だしー」



･･･ んん？

いやまて、落ち着け 俺。




「ほっぺたとか ぷにぷにで
もう 堪んなかったんだよなー。
やっぱ カワイイよな、《子供》って。」



太輔のコトバに 深い意味がねーのなんて
分かってる。
なのに 何だ？ このゾワゾワ は。




(どんだけ 欲しがるのよ 俺)





皆んなの輪を抜けて
そっと 独りで 楽屋を 出てく。



大丈夫。

俺は･･･ 満たされてんだ。





end.

.

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