はむ・ハム・チェリー 3

92 K side お先です 1 ページ23

ジャングル温泉に行った
翌々日。

俺達メンバーだけの
前倒しオフ 3日目。

コッチでのオフを あと1日残した
早朝の シェアハウス玄関。




「キタミツー、ガヤさーん！
乗って、乗って。時間ギリだよ？急いで！」

エンジンのかかった バンの運転席から
宮田が 首伸ばしてくる。


「ごめん、ごめん。ちょ、急かすなって。
ヒロ、靴はけた？
行くよ？ ほら。」

俺と 藤ヶ谷は 一足先に 帰るタメに
これから 宮田に 飛行場まで送って貰う。





最初、昨日のうちに 帰るつもりだったらしい
藤ヶ谷。

それを
『みっちゃん こんなヘロヘロなのに
ありえないだろ』

って 横尾さんに 叱られて。

しぶしぶ 今朝の飛行機を取った アイツ。


昨日は 千賀が 倉庫で見つけたっていう
木製の ずっしり重たいビーチチェアを
ラウンジに 引っ張り出してきて、
俺は すっかり病人扱い。

寝転がった 俺を囲んで
皆んなで ツアーの相談したり ゲームしたり
メシ食ったり。

どっか 皆んなで 観光でも行けばイイのに

『たまには のんびりも イイじゃん？
みつ のコトも心配だし？』

そう言う たま も
うんうん頷く 弟たちも
俺から 何かオモシロイ話を 聞き出そうって
好奇心丸出しの顔で 俺を取り囲みやがって。

ハムんなっても 話は全部 分かるのか とか
味覚はどうだ、美味いモンは 一緒か とか
小学生レベルの ギモンから

どのタイミングで ハムんなるんだ
そんな しょっちゅう ハムになるのか
カラダは 大丈夫なのか とか。


俺がハムんなるコトに
誰も ギモンを抱いてねぇってのは
どうかと思ったけど･･･

茶化しながらも
俺のコト 心配してくれてるってのが
掛けられたブランケット越しに伝わってきた。

肩に、腹に、腕に 乗せられた
手のひらの 重みから。





昨日の夜には もう 熱も下がったし
このまま 皆んなといても いーんじゃね？
て 思うんだけども。

何かに 追い立てられるよに
急かされるよに 帰りたがる 藤ヶ谷。


その《何か》を 薄ぼんやりと･･･

や、実は アイツに触れられる箇所 が、
細胞の 一つひとつが 感じ取ってる。

俺も。
早く 帰りてーって 思っちまってんのは
仕事的に マズいのも 分かってる。




んで、その 腰に回された手は 何なのよ。

「おい、ふじ･･」

「太輔。た・い・す・け だろ？」

耳元で ドヤ顔する《浮かれポンチ》。

自分が ヒロと呼ぶんだから
俺には 太輔と呼べと
プラベ限定の《誓約》を
一方的に押し付けられたのが

一昨日の夜。

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