はむ・ハム・チェリー 3

84 Y side おかえり ページ15

ジャングルの温泉を
充分に 堪能して。

帰りに 観光名所で 有名な温泉街で
土産物屋めぐり をして。

5人で シェアハウスに 戻ってきたのが
夕方 5時過ぎ。


「たっだいまぁー//」

「はぁー// 結構 歩いたよね。足パンパン。」

お土産の袋を 両手に提げて
満足そうな 疲れを見せる ニカと 千賀。

その後から 宮田と たま。
ジャングル温泉では 鬼みたいに怒る 太輔に
さすがに シュンとしてた 2人だが、

土産物屋を 回る頃には
すっかり 復活して
武士のカツラとか 渦巻キャラのTシャツとか
妙な土産ばっか 物色してた。





(んっ？)


広い玄関の 上がり口に
見覚えのある靴が 転がってるのに 気づく。

･･･ 太輔の ショートブーツ。

いつも キチンと脱ぎ揃えられてる ソレが
左右バラバラに 転がってる。


(てか、帰ったんじゃ･･･ なかったの か？)




てっきり 今頃は
東京行きの 飛行機の中だと 思ってた。


あまり乗り気じゃなかった 太輔 が。

みつが 喜ぶと思って 行ったんだろう
ジャングル温泉。

弟達の わちゃわちゃの被害に 合わないよに
《ハムみつ》を連れて
俺と2人、離れたトコに いたのに･･･。

シャンプーで ちょっと目を離したスキに
《ハムみつ》を 宮田に 拉致られて。

温泉で 溺れさすトコだったんだ。


無事に 助けられたから 良かったものの。

俺が 駆けつけた時には
たま の 股間から もぎ取った《ハムみつ》を
手の平に乗せて
ほっぺたやら 胸やら 腹やら、
指で 必死に 揉みしだいてた 太輔。

熱い お湯の中で 溺れて意識を 失くしつつも
しっかり《掴まりドコロ》を
見つけたんだろな、みつ は。


コポッ//



前歯の長い 小さな口から
お湯が 吐き出されて

ぐったりしてた 小さな もけもけが
小首を傾げて 立ち上がって ようやく。


「･･･ぁ ･･･ はぁー･･･ ヒロ。」


太輔の口から 大きな溜息が 漏れた。




.




そんな だから･･･



「･･･ ･･･ 先、帰るから。」


滅多に 見られない 怒りを隠そうともせず
茶色の もけもけを 胸元に 抱きかかえて
脱衣場へと 出て行く 太輔に
誰も 声 掛けられなかったし、

当然、自宅へ 帰ってるもんだと 思ってた。






キッチンカウンターから
ひょいと 覗いてくる顔。


太輔 だ。


「･･･たい す･･」

「･･･ ･･･ おかえり。」


.

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