キミが光 ひかりヒカル〜年の瀬編〜 3

83 Y side 失くしたモノ ページ22

夜が 開けてから･･･
自宅に 着いた。

朝の 6時。
まだ 薄暗い 病院からの 道を
どうやって 走ったかなんて 覚えてない。


熱い シャワーを 浴びる。
肌に 遠慮なく打ち付ける 雨が
心の 痛みも 悩みも 後ろめたさも･･･
全部 流してくれれば いいのに･･･。



.


《大事な 話がある。》

みつが 眠る 病院の 一室。
そう 切り出して 聞かされた
太輔からの 話は ･･･
俺達に 大きな 試練と 課題を与える物だった。


みつが 検査から 戻るのを 待って
太輔は アイツの《決心》を
みつに 伝えようと 思ってた はず。

それを せずに みつを 眠らせたのは、
《決心》を 伝えるよりも
重要な《何か》が あった から。

みつの 耳に 入れずに
俺達に 聞かせたい《何か》･･･。


『検査の 結果 ･･･な？
打った 頭も、目も 大丈夫だったって。
心臓も 問題ないって。

ただ･･･ 宏光は･･･
一部 記憶を 失くしてる らしい。
どこまで 失くしてて、どこまで 残してるか
･･･ それは まだ わかんない。

目を覚ました時は
ウチで パーチーやってた事も
わかんなかった ･･･らしいわ。

で･･･ どうやら･･･
宏光が 失くしたい 記憶は･･･《彼女》だ。』



･･･ そうだろうな。
妙に ストン と 俺の中に 落ちてきた。

みつは･･･
記憶 削って･･･脳ミソ 壊して･･
《彼女》を 受け容れる事を やめたんだ。




太輔は 続ける。

『それが 分かったから さ･･･
尚更、この世界には いない方が いい。
《彼女》と 同じ 世界に なんか。

なのに･･･ アイツったら･･･ｸｿｯ///』



やはり 太輔を 泣かせたのは
みつの あの 言葉だ。

《も少 し ･･･ その う ち ･･･》

強制の 意味は なかったんだ と思う。
ただ、薄れてく 意識の中で 零れ出た
みつの 本心。

俺の 走りを 止めないで くれ。
長持ち しないのは 分かってるから
せめて 自分に《その時》を 決めさせてくれ。

･･･ 正気では出せない 本心。




.
「太輔･･･ 俺達も 一緒だから//
俺達も 全力で みつを 守る。
その為なら 平気で 嘘つきにだって なれる。」

「渉 ･･･」

「俺も。 キタミツが 走るの 止めないなら
その方が ずっと 嬉しい。 な、たま？」

「俺？ 俺は ウソつくの 得意だし？
ぜーんぜん へーき。
みつが 辞めないなら･･･何でも 出来るし？」



まだ 頭に「？？」が 残る 弟 二人も

「みつに《彼女》のコト
思い出させなきゃ いーんでしょ？」

84 K side 洗い流す→←82 N side も少し 3

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す