キミが光 ひかりヒカル〜年の瀬編〜 2

39 Y side いつも通り 2 ページ8

みつが 言わないなら
･･･ 聞かない。

みつが 救いの手を 求めないなら
･･･ こちらからは 差し出さない。


そう 佐野先生と 相談して 決めたこと。




『他人に 触られるのが 怖い･･･

《接触恐怖症》･･･って ありまして ね。
多分･･･今の 北山さんは ソレに近い かな。
いや、まさしく その症状 なんですがね。

･･･もう･･･ これ以上 ･･･
彼に 新しい病名を 付ける の は･･･』


気を失って グッタリ眠る みつを 横に
佐野先生が 口を開いた。

寝不足で 出来た 目の下の窪みが
大柄で 熊っぽく 妙に頼ってしまう
柔らかな 先生の 雰囲気には 不似合いで。


『かたせ さん･･･ でした よね？
昨日 北山さんは あの方を 怖がってた
･･･ ですよね？

横尾さんは ･･･何か ご存知 で？』


俺が 何も知らないが、多分 原因は
彼女に あるんだろうと
自分も 感じた事を伝えれば


『･･･ 以前 ･･･ 北山さんが 受けた･･･
性的に 辛い 過去 について ･･･は？

あぁ･･･ 知ってるんです ね。

彼女が･･･その･･･ 可能性も あり ですね。』


言葉を 選びながら 慎重に話す 先生。
もし、間違いなら これ程 失礼な事は ない。

でも、俺は ほぼ確実に みつの 過去の相手は
かたせ さん なんだ と 思った。

･･･《ボクちゃん》･･･
あんな 厭らしい目で
30にもなる 男を 呼ぶ 呼び方じゃあ ない///


今まで 何の接触も 関係もなかった人に
吐き気がする程の 嫌悪、怒りを感じたのは
･･･ 初めて だ。




.
スタジオに 向かう 車。
隣で 誰にも 触れる事を 許さない身体を
独り 背中を丸めて シートに 抱え込む みつ。



「あ！ そうだ！ みっちゃん///
今日、太輔 早く帰って来るって よ？
LINEの 返事 来てたの 言うの 忘れてた//

佐野先生も 一緒に 晩ご飯しようって。」


少しでも 重く沈んだ 心細い 気持ちを
引っ張り上げる事が 出来れば･･･


「えｯ！！ そなのｯ！？」

ぼんやり 外を眺めてた 顔が
勢い良く コッチを 向いた。

「晩メシかぁー ･･･ なら 気合い入れて
ちゃっちゃと 終わらなきゃ だな///

そっかー ･･･ 晩メシまでに 帰るてかぁ///」


土色の顔なのに ほんのり 頬は 赤く染まり。


(やっぱ《太輔効果》は バツグン だな//)


なんて 表面だけでも 俄然元気になった
助手席の《三十路小僧》に
クスクスと 安心の笑いを 投げてやった。



(太輔が 戻れば 何とかなる)

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