キミが光 ひかりヒカル〜年の瀬編〜 2

56 F side 普段通り 1 ページ25

集合時間より
少し 早めに 着いた 楽屋前。

宏光の 斜め前に 立つ 俺。
後ろには 佐野先生が
大きな鞄を 下げて 控えてる。

先生とは 下の駐車場で 落ち合った。

昨日は 夜に 一度 戻って来てくれたけど
今夜は 大丈夫そうだと 宏光の 腕の針を外し
おジャマ虫に 長居は 無用 とか何とか
言い残して さっさと帰ってった。

確かに 先生の 言った通りで
夜中 何度かは 魘され 目を覚ましたけど
過呼吸の 発作を 起こす事もなく
眠れば その眠りは 深いようだった。

俺の肩に 鼻先を 擦り付け
思い出したように すん と匂いを嗅ぐ仕草。

息が 止まりそうなくらい
愛しい ･･･ と 思える 瞬間を
昨夜は 何度 味わったか･･･。



.


ドアの前で 立ち止まり
不安に 揺れる 黒丸の 瞳が
俺を 見上げてきた。

(大丈夫。)

口端を 横に引き上げ
ただ その一言を 微笑みに込めて
宏光に 伝える。

宏光には メンバーに 今の宏光の状態を
簡単に 話したと 伝えてある。

でないと、もし 普段通りに 接する事が
出来なかった時、宏光も メンバーも
どんな反応したらいいか 困るだろう。

ただ、そうなるまでの 過程、原因は
俺も 知らない事になってるから
もちろん メンバーも 知らない話となる。



.

コクリ と 頷くと
大きく 一つ 息を吐き出す 宏光。

「･･･ふぅー///」

あ･･･ 表情が 変わった。
仕事の モードに 入ったのが 分かる。

コン コン///♪

宏光が 楽屋の ドアを 叩き･･･
返事を 待たずに 中へと 足を 踏み入れる。


「うぃーｯ// はよ！ ･･･ て 俺 また 最後？」

「あっ！ みつ〜// ガヤも･･･え？
さのっちも？！ 何で 何で？
ツアー みたいじゃん////

･･･てか ･･･ みつ そんな 調子 悪い の？」

心配そうに 聞いてくる ニカ。


「いや、さのっちは 元々 予定通り。
年末は 仕事立て込んでるし･･･
念のための 保険？ みたいなもん てな。」

「ヒドイなー// 保険 ですか？
僕は これでも 8人目のメンバーのつもり
なんですから･･･ﾌﾌ///」

普段通りに 切り返す 先生に 感謝 だ。


このまま 何事もなく《普段通り》を
装って やり過ごせる･･･

そう 思った 矢先





.

「･･･みつ･･･ 抱き締め ･･･ ちゃう よ？」

ソファに 座ってた たま が 立ち上がり
宏光の 前に 立ち塞がる。

「ぅえ！？ た、たま？」

宏光の 肩が ビクンと 固まったのが 分かる。

「たまっ！！」

焦って 立ち上がる 渉。

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