キミが光 ひかりヒカル〜年の瀬編〜 2

45 Y side 知らされて ページ14

濃いスモークの ガラス。
俺の車の 後部座席。

堪え切れない 嗚咽を 漏らし続ける 太輔を
取り敢えず シートに 押し込めた。

スーツケースを 助手席に乗せて
俺も 反対側から 太輔の 横に 乗り込む。



「ーｯ/// くぅーｯ
んﾝーｯ // うｯ うｯ うｯ// あｯ あｯ あｯ//」

堰を切ったように
声を上げ 泣き出す背中を 慰めながら
サングラスを 外してやる。


ここなら 大丈夫。
誰に 見られる 心配も ない。

隙のない 男前でキングな
アイドルの《藤ヶ谷 太輔》じゃなく
たった一人の 大切な人を想い
身体中の 涙を 絞り出す様に 流し続ける
一人の 男･･･《藤ヶ谷 太輔》として。



真っ黒な ガードを 取り払った 太輔の瞼は
既に 赤く腫れぼったい･･･
ここに来る 道中も 泣いてた のか･･･？


「･･･太輔 ･･･ あんま 目 腫らしたら
･･･ みつが 心配するぞ？ ･･･ な？」


枯れ切ってしまうまで 泣かせて やる。
声を 張り上げて 涸れるまで。
それで 太輔が 保たれるなら それも いい。

でも 今は それよりも ･･･


その名前を 聞いて 太輔が ピクリと 止まる。
荒げた息は 急速に 落ち着いてゆき
壊れたたずの 涙の堰も 自然に 治まってく。




.



「･･･ ･･･ 渉 ･･･ ･･･

俺 ･･･ もう 走れない かも ･･･」




腫れた瞼を 差し出された タオルで 覆い
掠れた 声で ポツリと 太輔が 零した 言葉。

その言葉にも 息を呑んだが
その後に 太輔の口から 続いて出た 真実 ･･･

みつと《彼女》との 仕組まれた 真実に
俺は 頭を 殴られる程の 衝撃を
受けずには いられなかった。




それから ･･･
どこを どう回って 買い物したか なんて
覚えてない。

少しでも早く みつの 顔が 見たかった。
みつの 顔を見て 俺達が 安心したかった。

何も 知らないで ずっと 苦しみながらも
走ってきた みつ。
走りたいという 自分の気持ちを 信じて。
ずっと 一緒だと 俺達を 信じて。

そこには 俺達を 守ってくれてる という
揺るぎない 事務所への 信頼も あったはず。






本当の事を 知っても･･･
アナタは まだ 走り続けたい と

･･･ 思って ク レ マ ス カ ･･･

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