キミが光 ひかりヒカル〜年の瀬編〜

23 Y side 送り出す ページ23

目指す スタジオの 扉を
目の前にして
背後から 掛けられた 声。


「あら！ ボクちゃん// 久しぶり//」



その 瞬間 ･･･
俺と 優馬の 間、
小さな 身体に 電気が走る。

ビクン と 背中を反らして 足が止まる。
握った 手に 力が込められ
小刻みに 震えだす ･･･ 止まらない。


《ボクちゃん》が 誰のことなのか。
振り返って 声の主を 見れば ･･･
予想を 裏切ることなく
みつ を捉えて離さない 舐める様な 視線。


.

･･･ 確信 した。
みつを《ボクちゃん》と 呼ぶ この人が
今まで ずっと みつを 苦しめてきた･･･
みつの 心の一部を 蝕み続けてた･･･
思い出したくない 汚された
《記憶》だったんだ と。


(･･･ かたせ さん ･･･)




「具合 悪くなっちゃったんだってぇ？
だぁい じょぉぶ？」

「･･･ だｯ、だｯ ･･･ﾊｯ// ﾊｯ//」


大丈夫 ･･･ と 言いたい のか？
捕らわれた 小鹿みたいに
俺と 優馬の間で 震える 身体は
振り返る事すら 出来ずに 荒い息を 吐く。


「･･･ もう 大丈夫 です ･･･ けど
まだ ちょっと･･･ フラつく みたいで･･･。

すみません、急ぎます。失礼します///」

優馬と 二人で 引き摺る様に ドアを くぐる。

入り口で もたもたしてると
俺達の 横を 優雅に 通り越してく《彼女》。

「お大事 にー// ･･･
ボクちゃん、今日は ヨ ロ シ ク///」


また 小さく跳ねる 身体。

「･･･ みっちゃん･･･大丈夫だから･･･。
皆んな 付いてるから。 大丈夫。」

覗き込んだ先には 青ざめた顔。
繰り返し 与える《大丈夫》の 言葉。

そんな言葉一つで
みつの 不安や 恐怖を どれだけ
取り除けるってのか･･･

.



「･･･ﾊｧ ﾊｧ ･･･ ﾊｧ ･･･ よこー さん ･･･
･･･ 行く わ ･･･ 」

やんわりと 自ら解く 二本の支え。

「･･･ 優馬も ありがと な。
･･･ も ･･･ﾊｧ ･･･ へーき だし？ 」

全身に グッと 力を入れたのが 分かる。

「行って くる//」


青い顔して 平気だと言い切る 嘘つきが ･･･
俺の傍を 離れて
スタジオの セットに 呑み込まれてく･･･。


.

ブルブル /// (ﾋﾟｺﾝ////♪)

(あぁ ･･･ だよな。 俺に ･･･来る よな。)

多分･･･今は 一番 受けたくない 相手からの
LINE だ。

画面を 見る。やっぱり･･･


･･･ 太輔 だ。

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