キミが光 ひかりヒカル〜聖海獣編〜

11 桃side 会えなくて 2 ページ11

緑、黄、青、橙、紫、桃。
･･･そして･･･赤。


七色の光が 広い会場全体に 散らばる。
東京ドーム ･･･異次元の 空間。

そこにいる間だけ ･･･
自分も 同じ 空間を、熱を 感じられる
束の間の 夢の世界。




俺は ･･･事務所に 頼み込んで
この業界にいる という特権を
使えるだけ 使って･･･この場所に いる。

会場の アリーナ･･･客席から離れた 壁際。


喜んで 付いて来た 宇宙を従えて
関係者用入り口を 通り アリーナへ入った。

バレない様に 帽子を被り、眼鏡を掛けて。

(よくやるよな･･･俺も ･･･)

ずっと 薄暗い壁際に立ったままで
光に 照らし出される 世界を 見ていた。





･･･衝撃 ･･･ だった ･･･




見慣れた スーツではなく･･･

煌びやかな 衣装を身に纏い
弾ける 様に踊る 小さな身体。
妖しく 揺れる 細い腰。

そして 何より･･･
直接 耳の奥を 愛しく撫でるような･･･
甘く 鼻にかかった 声。


まだ 大した事も 知らない
仕事場で 談笑する程度の 仲だけど･･･
初めて 見る 彼の 別の一面。

《歌を 魅せる人》



妖しい薬に 惑わされたみたいに･･･

その 空間に いる間中
俺は その人から 目を離せなかった･･･。


。。。。。。。。。

「桃李クン、昨日のライブ最終日
来てくれてたんだって？」

夕方近くから 撮影に合流した 北山サン。

言ってくれれば 良かったのに、
楽屋に 顔出して くれたら･･･と
照れ臭そうに 話す 北山サンの 右手には
白い 包帯が 巻かれていた。

久しぶりに 近くで見る 北山サンは
少し 細っそりして見えた。

ドラマの中でも 怪我をした事に
シナリオを 変更して貰ったんだ、
スタッフさんにも 迷惑掛けて 申し訳ない、
と 話す北山サンは･･･
相変わらず くるくる よく動いて
周囲は 明るく 賑やかだった。

スタジオの片隅には やはりメンバーの顔。

(確か･･･藤ヶ谷サン ･･･だったっけ)



俺が ライブに行った事で
共通の 話題が広がったお陰か
お互いの楽屋を 行き来する仲になり。

撮影の合間も
よく一緒に時間を潰すようになり。



それから ･･･
ファンの傷害事件で 頬に 傷を作り
憔悴し切った 状態で来た時も ･･･

名古屋のライブで 怪我をしたと
ギプスの足を 隠しながら 撮影する時も ･･･


いつも どんな時でも
北山サンは 一生懸命で ･･･熱い男 だった。



そして、そんな 熱い男に 会える撮影を･･･
楽しみにしている･･･ 俺がいた。

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