キミが光 ひかりヒカル〜尾張編〜

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キッチンに立つ太輔。
カウンターからは
《横尾デリ》のハンバーグが
ウマそうな匂いを 放ってる。


ソファから 眺める カウンターの風景が･･･
当たり前みたいに 太輔がたたずむ
その風景が･･･
訳もなく 俺の鼻の奥をツンとさせる。


新しい家に 越してから
家事は 殆ど 太輔がこなしてるけど･･･
負担 ･･･掛けてるよな。
俺も しっかりしなきゃ。

太輔の 優しい頑張りが 俺の 原動力。
見返りを求めることなく
無限に伝えてくれる《好き》が
俺を 前へと押し出してくれる。

俺、まだ ちゃんと引っ張れてるかな･･･。
いや･･･横を 一緒に走れてんのかな。
信じていても
時々 確かめたくなる 不安定な俺の心。
･･･しっかり しなきゃ･･･。



ﾋﾟｺﾝ///♪

テーブルに置いてた 2台のスマホが
同時に鳴る･･･LINEだ。

「ヒロ、ちょっと見て。誰から？」

･･･渋々 俺のスマホを 掴む･･･困ったな･･･

とりあえず ぼんやりと見える
黄緑のアイコンを タップする。
(やっぱ････さっぱり わかんね･･･)

「･･･えーと･･･よこーさん･･･かな」

適当に 答えてみるけど･･･
なんで よこーさん て答えたかは･･･
やぱ わかんね。

最近･･･
寝起きの 視力が 極端に悪くなってる。
スマホの画面の 文字が読めない。
元々 霞がかかったような世界なんだけど
それが 滲んで 文字の形を成さないってのか。

収録でも 迷惑かけてんの 判ってる。
スタッフさんが かなり大きな文字で
カンペ書いてくれてんのに･･･
それすら 危なくなってきて･･･
なるべく収録前には 寝ない様に
気を付けてるけど･･･。

だから 音声さんが提案してくれた
イヤモニ･･･有難いと思ってる。

また頭痛くなるかもと言われても･･･やる。
どんなに頭痛くなっても ･･･やるんだ。


角度を変えたって 見えないのは
分かってるクセに･･･
俺は スマホを ひらひら傾けてみる。


「なに？ なんて言ってんのｯ？」

(！！！！･･･ ･･･)

太輔が イラついたのが 判った。。
でも･･･どうしても 言いたくなかった･･･
《見えない》･･･なんて。

その 一言を 言ってしまったら･･･
もう 要らないって･･･
こんな俺なんて 必要ないって 言われそうで。

分かってる。
そんな事 誰も 言うハズない事も･･･
分かってるけど･･･言いたくないんだ。

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