キミが光 ひかりヒカル〜尾張編〜

18 F side 羽根 8 ページ18

佐野先生を待つ間に
･･･やらなきゃ。


まだ使ったことない
エアコンのスイッチを入れる。
高目の温度に 設定して･･･。


「･･･ヒロ･･･顔 拭くね。」

渉に頼んで タオルを山盛り
濡らしてきて貰う。

上体を 抱き起こし
汚れて 冷たくなっている
顔を 温かいタオルで優しく拭う。
髪の毛も･･･首筋も･･･

「太輔、ベッド 連れて行くか？」

「･･･いや･･･ここで･･･。」

寝室より リビングの方が･･･目が届く。
いつでも 宏光がゆったり寝られる様にと
選んだ 大き目のソファ。

二人で のんびり出来る日には･･･
一緒に 並んで座って たわいもない話を
ずっと交わす為に･･･。

強がるクセに 寂しがり屋の宏光が
具合悪い時でも 俺を感じてられる様に･･･。

ここへ 引越してから
このソファは 既に その役割を
充分に 果たしてくれている･･･。


俺の返事を聞いた渉が
汚れてしまった 若草色の革を
手早く きれいに拭き取ってくれる。

「･･･ヒロ･･･佐野先生 来るからね。」

頭の下に クッションを入れ
もう一度 ソファに 寝かせる。

「渉、ちょっと 見てて//」

急いで 寝室から 代わりの布団と
宏光の 着替えを取ってくる。

「ヒロ･･･着替えよっか･･･」

。。。。。。。。。


「･･･なるほど･･･昨日 そんな事が
あったんですか･･････納得しました。」

空いたソファに 腰を落ち着けて
俺の話を聞く 佐野先生。

「･･･些細な事でも･･･
僕に 教えといて欲しかったですね･･･。

いや、そこまで藤ヶ谷さんに頼るのは
･･･酷な話･･･ですね。すみません。」

渉が 冷たいコーヒーを 持ってきて
一緒に ソファに腰を落とす。
かなり暑く感じる程に 暖められた部屋。
佐野先生の額には うっすら汗が滲んでる。


宏光を診て すぐに
心配ないと診断した 佐野先生。

でも、それじゃ 俺は 納得できない。
こんな事、初めてじゃないか･･･
いきなり吐くなんて。


「･･･原因は･･･そのイヤモニ･･･ですね
･･･多分。」

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