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11話 ページ15

「乱歩さんと、社長がいなかったら、私、たぶん、生きてません。探偵社には、感謝しかありません」

「......そっか。雨の日か」

 隣の彼はそんなことをつぶやいて、天井を仰いだ。その目はどこか、遠くを見ているようで、その遠くとは、私には見えないものだった。

「あぁ、もう八時じゃない。せっかく早く帰れるってのにね、ごめんね」

 いや、むしろ私が自分の話をしすぎたのではないかと思うが、彼のやさしさに甘えてそれは言わないでおく。涙をぬぐって、いいえ、と笑った。

 家に着いたのはそれから三十分後、八時半。適当な食事を摂ってシャワーに入って寝た。


  *


 フェージャとは、どうするべきだろう。

 もちろん私は彼と共になることを望む。それは心からそう思っているし、それでも、胸につっかえるものがあった。家族のことだ。

 ふつう、こういうのは家族にどう伝えるのだろう、私とフェージャの関係はいまだ曖昧で、だからこそどうしたらいいのかも、わからない。

 まず、自分にとっていちばん大切なものについて考えた。それは幸せだろうか。お金だろうか。人からの注目だろうか。なぜ私は生きているのか。

 それはたぶん、愛だった。愛されたい、気持ちがずっと根底にある、昔からそうだった。深く愛されるだけでいい、ただそれだけでいい。たくさんの人にとか、望まない。

 一人だったとしても、いい。その一人が、私のことを深く愛してくれるならそれだけで、いいの。

 フェージャは、どうだろうか。彼は、私を愛してくれるだろうか。

 体でつながっただけの相手と言えばそれまでだ。知ってる、そこに私がこれからも愛される保証がないのも、わかっているのだ。

 仕事の時以外、ずっとそのことを考えて、何日も過ぎた。私は、ある一つの決心をつけて、彼にメールした。

 私は今晩、彼に共にいたい意を話すことにした。


  *


 彼は、ゆっくりうなずきながら、それを聞いていた。

「この前の話についてだけど、私、フェージャと一緒にいたい」

 彼は、美しい双眸でこちらを見つめ、そしてやおだやかに笑いかけた。

 その彼の顔がたいへん美しく、やさしいものだったので、私は感動した。胸が震え、彼といたい気持ちがまたずっと強くなった。

「好き。大好き、フェージャ」

 ここは涙をこらえて、彼に笑い返した。彼は私を抱いて、「僕こそ、愛しています」とつぶやいた。

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うずのしゅげ(プロフ) - 猫さん» ありがとうございます笑笑 そうですね、本当に彼女には報われてほしいですね☺️☺️ ドスくんが楽器を弾いて、夢主ちゃんが歌ってとかっていう穏やかで幸せな日々がありそうで妄想の翼が広がりますね!!笑 (7月17日 10時) (レス) id: c82952eeb4 (このIDを非表示/違反報告)
- ズビッズビッっべ、別に泣いてないですけど、夢主ちゃんは幸せであって欲しいですねズビッ (7月8日 10時) (レス) @page24 id: a46c77cf46 (このIDを非表示/違反報告)
吹原思木(プロフ) - ラいむさん» ラいむ様!!長い間、本当にお世話になりましたー−!!!こちらこそ、今までありがとうございました。受験勉強がんばってきます!何度も何度もしつこいようですが、本当に、ありがとうございました! (2022年10月23日 21時) (レス) id: 82c6167370 (このIDを非表示/違反報告)
吹原思木(プロフ) - 眠夢@低(無)浮上さん» わー−!!うれしいですー!そうですねー、もうこの作品を書くことがないんだと思うと、本当に私も寂しい気持ちです、、わざわざコメントありがとうございました!次作でもよろしくおねがいしますー−! (2022年10月23日 21時) (レス) id: 82c6167370 (このIDを非表示/違反報告)
吹原思木(プロフ) - 黒猫さん» 上から読み返してくださったんですか......!! いやもうまじで、うれしいです!!黒猫様にはお世話になりました、今まで本当に、ありがとうございました!!受験勉強も、がんばってきます! (2022年10月23日 21時) (レス) id: 82c6167370 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:うずのしゅげ | 作者ホームページ:https://twitter.com/8YgT1yhKwYPDEd7  
作成日時:2022年8月11日 22時

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