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8話 ページ12

薄汚れた路地裏に二人は腰を下ろした。モンゴメリさんのことを思うと少し胸が痛んだが私のワンピースが汚れることは別にどうでもよかった。ただフェージャの服が汚れてしまうと言うのに、べつにいいですけどなんてあっけらかんと返されるから、それに答える言葉を私は知らず甘えてしまう。

 こうしていると、なんだかフェージャと出逢ったときのようだった。初めて逢った時、こんな暗い路地裏で泣く私に彼がハンカチを差し出してくれて、それから、今まで関係が続いているなんて、感慨深げな話だ。

 特になにも訊かず黙って隣にいてくれるフェージャに、もうすべてを打ち明けてしまいたい一種の破壊衝動のようなものに駆られて、私は恐々口を開く。

「......今の職場が、苦手で、いいところなのですが、私には合わないといいますか......

 ......いわゆるブラック、なんです。残業は、常で......私愚図なのに、その上、仕事を、押し付けられてるっていうか、任されてるっていうか......それがちょっと辛くて......

 あ、だから、ごめんなさい、勝手に走り出しちゃって。ごめんなさい」

 体感だが、それから長い沈黙が募って、私ももうなにかを話す気なんてなくて、黙り込んだ。開口は彼だった。

「......Aさん。辞めてみてはどうです?そして、僕のところに来ませんか」

「え」

「僕は、それが最適解と思います。Aさんがそこに執着するようなものも見受けられませんし」

「いや......そうじゃなくて、そっちじゃなくって、僕のところに......って......」

「あぁ、すいません。もっとロマンチックに言えればよかったですね」

 はは、なんて苦笑を浮かべため息をつく。そして言った。

「その、一緒に、住みませんか。結婚だとか、そういう枠組みはだってAさん、あんまり好きじゃないでしょう」

 一緒にいたいんです。彼は言う。余韻までも聞こえるほど深く打つ鼓動を意識しながら、私は彼を見つめた。おどろくのは当然だろう。だって、今私が言われたことは......と、胸の内で言葉を重ね意味をたどった。

 それから私がどう反応したのか、あんまり思い出せない。動揺して、おもむろにその場から逃げ出したかもしれない。わたしは、ずっとおどろいていた。

 これはたぶん、プロポーズだ。それを冷静に見ることができたのは、その晩のことだった。

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うずのしゅげ(プロフ) - 猫さん» ありがとうございます笑笑 そうですね、本当に彼女には報われてほしいですね☺️☺️ ドスくんが楽器を弾いて、夢主ちゃんが歌ってとかっていう穏やかで幸せな日々がありそうで妄想の翼が広がりますね!!笑 (7月17日 10時) (レス) id: c82952eeb4 (このIDを非表示/違反報告)
- ズビッズビッっべ、別に泣いてないですけど、夢主ちゃんは幸せであって欲しいですねズビッ (7月8日 10時) (レス) @page24 id: a46c77cf46 (このIDを非表示/違反報告)
吹原思木(プロフ) - ラいむさん» ラいむ様!!長い間、本当にお世話になりましたー−!!!こちらこそ、今までありがとうございました。受験勉強がんばってきます!何度も何度もしつこいようですが、本当に、ありがとうございました! (2022年10月23日 21時) (レス) id: 82c6167370 (このIDを非表示/違反報告)
吹原思木(プロフ) - 眠夢@低(無)浮上さん» わー−!!うれしいですー!そうですねー、もうこの作品を書くことがないんだと思うと、本当に私も寂しい気持ちです、、わざわざコメントありがとうございました!次作でもよろしくおねがいしますー−! (2022年10月23日 21時) (レス) id: 82c6167370 (このIDを非表示/違反報告)
吹原思木(プロフ) - 黒猫さん» 上から読み返してくださったんですか......!! いやもうまじで、うれしいです!!黒猫様にはお世話になりました、今まで本当に、ありがとうございました!!受験勉強も、がんばってきます! (2022年10月23日 21時) (レス) id: 82c6167370 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:うずのしゅげ | 作者ホームページ:https://twitter.com/8YgT1yhKwYPDEd7  
作成日時:2022年8月11日 22時

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