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Myself,Yourself/跡.部 ページ12

「はっ、……」


びゅん、びゅんとラケットが空を掻っ切る。ラケットを振り下ろすたびに毛先から汗が弾け飛ぶ。部員が帰った後の薄暗いコートは、いつもより物音一つ一つがはっきりと、より鮮明に耳に跳ね返ってくる。



「……99、100!」


腕が痺れた。少しずれたリストバンドを指先で摘んで直す。古ぼけた蛍光灯の灯りが、ちかちかと瞬く。早く帰れ、と急かさんばかりに。
無理はいけない。分かっている。先輩からも言われた。けど、大事な地区予選前の調整とはいえ、あんなメニューじゃ折角つけた力を落としてしまう。




ずっと、テニスが好きだった。あのボールを打ち返した時の感触、音。周りから巻き起こる歓声が、その全てが、心地よくて。
勝てるなら、それで良かった。チームのためになれるなら、どこまでも努力し続け、強くなりたい。

そう、思っているのに。





「……どうしたら、」
「無様だな」


背後で人一人分の影が揺らめく。振り向かずとも、その声と自信に満ち溢れた口回しで分かる。









「──何故、貴方がここに居るんですか?跡部さん」

やけに整った唇を釣り上げて、彼は楽しそうに笑った。




「アーン?そんなの俺の勝手だ。変な時間に音が聞こえると思ったら、まさかなぁ……」
「……なんですか」
「いや?期待の二年生レギュラーのお前とは。天才って言われてるらしいじゃねぇか」



だから何だ、と言いそうになって、口ん噤んだ。先輩だということはとりあえず置いておき、彼の挑発に乗っていけないことはわかっている。





「それはありがとうございます。用がないなら邪魔しないで頂きたいんですけど」
「小生意気なことを言う女だな。俺は嫌いじゃねぇが、苦労するぞ」
「私のことはお気になさらず。……跡部さんには、今の私の気持ちも理解できないでしょうが」

そう言ってのけると、彼は僅かに目を細めた。何もかも見透かしている眼。試合中でも何度も見たことある眼。そう、彼の『インサイト』だ。




「ほう…………地区大会が不安で今の練習量に満足出来ていないのかと思ったが、そうじゃないみたいだな?」
「……」
「図星か。思ったよりわかり易い奴だ」


うるさい。そんな可愛げのない反抗的な言葉が頭の中を埋め尽くした。

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紫梦(プロフ) - メロンさん» 作業用に仁王君の曲探してたら見つけました。とても良い曲でした!笑 ほんとにリクエストに沿えてるか不安でしたが、そう言って頂けて嬉しいです。リクエストありがとうございました!よろしければまたリクエストお願いします。 (2018年8月31日 22時) (レス) id: 231b2007bc (このIDを非表示/違反報告)
メロン - Fake聞きながら、描いたんですね笑。可愛かったです!リクエストありがとうございました!また、機会があればよろしく御願いします! (2018年8月31日 22時) (レス) id: fd95f0d8fd (このIDを非表示/違反報告)
紫梦(プロフ) - メロンさん» 了解です!できるだけご期待に添えられるように頑張ります。少々お時間頂くかもしれません…! (2018年8月26日 8時) (レス) id: 231b2007bc (このIDを非表示/違反報告)
メロン - 紫梦さん» では、お言葉に甘えて…。初で奥手な仁王くんがみてみたいです~(^w^) (2018年8月26日 2時) (レス) id: fd95f0d8fd (このIDを非表示/違反報告)
紫梦(プロフ) - メロンさん» 世界観だなんてそんな…!私には勿体ないくらいの褒め言葉です…ありがとうございます!仁王くんですね、了解致しました!なにか設定やシチュなどのリクエストあればお願いします〜前の仁王君と被るといけないので! (2018年8月25日 21時) (レス) id: 231b2007bc (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:紫梦 | 作成日時:2018年7月31日 21時

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