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テニス部は休みが少ないから、明るい時間帯に見る帰路の景色は珍しく思えた。しかも、周りにはいつも他のテニス部メンバーもいるから、それに比べたら圧倒的に静かだ。
控えめに絡められた指先がむず痒い。それでもひしひしと感じるその温もりが、生温い夏風と相まって心地良さを誘う。





「……夏城、」

私に合わせていた歩調を、彼が完全に止めた。気がつけば私も立ち止まり、彼と向き合っていた。いつも茶化している彼のふとした瞬間の真剣な顔に、私は案外弱い。






「何……?」
「あのよぉ……なんだ、その……お前は」


らしくもない。珍しく言葉を詰まらせる彼が不穏に感じて、こちらまで緊張してくる。絡める指が離れそうになった。


しかし、それを彼が絡めとり、そのまま先程よりもしっかりと握った。ひと回りもふた回りも大きい、彼の手。







「お前は、本当に俺が彼氏でいいのか?」
「……何で?」
「だってよ。俺女子の扱いとか知らねえし……お前のこと、悲しませたくねえんだよ」


彼の一言一言に、心臓が締め付けられた。多分、キュンとするってこんな感じなんだろう。
無意識のうちに私をドキドキさせている癖に、何を言ってるんだ。憂虞する彼を安心させたくて、繋がれた手を強く握り返す。






「大丈夫だよ。……桃城君のこと、好きだから」
「…………やべぇ。めっちゃ好き」

先程と一転して、顔を真っ赤に染める彼は嬉しそうに見えた。私も、死ぬほど恥ずかしくて、嬉しくて。……そして、幸せだった。









「あー、合宿楽しみだな」
「そんなに?」
「おうよ!お前もいるしな。頑張るしかねーな、頑張るしかねーよ!」
「…………私も、頑張らなきゃ」

相対的に恋をする/宍.戸→←幸福追求より大切な/桃.城



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紫梦(プロフ) - メロンさん» 作業用に仁王君の曲探してたら見つけました。とても良い曲でした!笑 ほんとにリクエストに沿えてるか不安でしたが、そう言って頂けて嬉しいです。リクエストありがとうございました!よろしければまたリクエストお願いします。 (2018年8月31日 22時) (レス) id: 231b2007bc (このIDを非表示/違反報告)
メロン - Fake聞きながら、描いたんですね笑。可愛かったです!リクエストありがとうございました!また、機会があればよろしく御願いします! (2018年8月31日 22時) (レス) id: fd95f0d8fd (このIDを非表示/違反報告)
紫梦(プロフ) - メロンさん» 了解です!できるだけご期待に添えられるように頑張ります。少々お時間頂くかもしれません…! (2018年8月26日 8時) (レス) id: 231b2007bc (このIDを非表示/違反報告)
メロン - 紫梦さん» では、お言葉に甘えて…。初で奥手な仁王くんがみてみたいです~(^w^) (2018年8月26日 2時) (レス) id: fd95f0d8fd (このIDを非表示/違反報告)
紫梦(プロフ) - メロンさん» 世界観だなんてそんな…!私には勿体ないくらいの褒め言葉です…ありがとうございます!仁王くんですね、了解致しました!なにか設定やシチュなどのリクエストあればお願いします〜前の仁王君と被るといけないので! (2018年8月25日 21時) (レス) id: 231b2007bc (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:紫梦 | 作成日時:2018年7月31日 21時

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