九十五話 ページ3
胡「二人とも、怪我はありませんね。
Aさんは休憩しますか?」
『いいえ、これくらいで柱なんて務まらないと思いますので。』
胡「ふふ、頑張ってください。
私は今回辞めさせていただきますね。
次はどなたが…」
不「俺だァ…」
傷だらけの男の人、風柱様。
何故傷だらけなのかは知らないが…かなりの実力だと思われる。
私は勝てないかもしれない。
胡「二人とも怪我をさせないように。」
不「…こいつが捌き切れれば問題ねェ。」
『捌ききれるかはわかりませんが…善処します。』
私たちが向き合うと、しのぶさんは手を挙げ始め、と合図した。
それと同時に風柱様は踏み込み一瞬で距離を詰める。
それをほぼ反射で受け止める。
力を込めて押し返そうとするが刀がキリキリ鳴るだけだった。
後ろに跳びながら呼吸をする。
『鋼の呼吸 壱ノ型━━━鋼研ぎ』
そのまま追いかけてきた風柱様の攻撃を流す。
その流された力を使ってもう一度降り掛かってくる。
呼吸はまだ続けられる。
不「攻撃はしてこねぇのかァ?」
『まだ、出来ない、ですねっ!』
まだ、刀に力がない。
あともう少し攻撃を受け流せば…!
何発も打ち込まれるのを防いだり流したりして攻撃を受けないように立ち回る。
刀がぶつかり合う音が変わっていく。
お互いに一定の距離をとる。
風柱様は構えた。
それを見て私は走り出す。
不「風の呼吸 弐ノ型━━━爪々・科戸風」
同時に四つの斬撃。
…今のこの刀なら斬れるはずだ。
攻撃を目の前にして横に思い切り斬り込むと技は消え、残るは風柱様だけになった。
不「風の呼吸 壱ノ型━━━塵旋風・削ぎ!」
この直面では私は防げない。
しかも広範囲、斬れたとしても全てを避けきれるわけじゃない。
壱ノ型の呼吸を止め、次の呼吸の準備する。
攻撃が当たる直前で上へ跳ねる。
『鋼の呼吸 参ノ型━━━鍛刀・鋼打ち!』
風柱様は攻撃を防いだ。
その隙をつこうとする。
不「甘いな。」
『はっ…』
いつの間にか首に刀が当てられていた。
私もあと少しで首だったのに。
胡「勝負あり。」
その声が私に冷たく響く。
やはりダメだったのだろうか。
不「コイツは強い。」
『え』
驚いて反応ができない。
今、負けてしまったのに…。
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作者名:エアー | 作成日時:2020年5月22日 14時