百七話 ページ15
宇「お前は柱となったよ。
まあその代わり条件があってだな…」
『もっと強くなれと、そういうことでは無いですか?』
宇「まあそんな所だ。
柱の元で稽古をつけてもらって全部合格出来たら正式な柱になれる。
それまでお前の階級は甲だ。」
確かに、それなら実力もつくだろう。
もちろん、進んで受けよう。
『わかりました。』
宇「お前は傷を治したら俺のところに来い。
暫くはお前の帰る場所になる。」
ま「待ってるよ!」
雛「待ってるよ。」
須「娘ができたみたい!」
娘、と言われて少し嬉しくなってしまった。
私は父と母を知らないから余計に嬉しい。
『……待ってて、ください。
必ず帰ります。』
そう言うとみんな、思い切り笑ってくれた。
私も嬉しくなって釣られて笑う。
宇「じゃあな、安静にしてろよ。」
私に手を振りながらみんな帰ってしまった。
その後すぐにカナヲが来た。
…よかった、どこも怪我していなくて。
カ「A!」
カナヲは目に涙をためながら私の所へ来た。
そんな心配はしないで欲しい。死んだ訳では無いのに。
カ「私の、せいで。」
『カナヲのせいじゃない。
私の技量不足だ。』
実際、大きな傷は鉄渋にやられたもののみであの鬼の攻撃はさほど大きくない。
『カナヲは優しいね。』
カ「ごめんなさい…。」
『それなら、私のために手紙を書いて欲しい。』
カナヲは少し笑って、手紙の一式を用意した。
理想の女の子だ。可愛い、綺麗なんだ。
……でも、嫌じゃない。この間みたいに妬ましくない。
とても好ましく思っている。大切な、仲間。
カ「誰に書くの?」
『御館様。』
カナヲは驚いて筆を落としかけた。
鬼殺隊の長に書くなんて誰が思うだろうか。
カ「…わかった。」
『カナヲにとって衝撃的なことだから心構えして聞いて欲しい。
御館様━━━━━━━』
私が喋っていくとカナヲは何度か筆を止めたりしたが最後まで書ききってくれた。
私の鴉に渡してもらう。
『話を聞いてたとは思うけど、御館様に。』
「チャント、ネテロ!」
それだけ言って飛んでいった。
鴉からは少しの心配が向けられて、驚いてしまったが、それは気づかなかったらしい。
カ「A、詳しく教えて。」
『もちろん』
私たちは手を握りあって話した。
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作者名:エアー | 作成日時:2020年5月22日 14時