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お礼 ページ34

何だかドッと疲れが押し寄せてきた。
私は川平のおじさんに促されるまま、彼に対面する形で置かれているソファに腰掛ける。


「まずは、そうだな。待たせてしまってすまなかったね」
「いえ……それで、代理戦争は、」
「君の『大好きな人たち』が勝利を掴んだよ」
「!そうですか」


私が気絶した後は、原作通りに事が運んだようだ。
安堵した私は全身の力を抜いて、だらしなく背もたれに体を預けた。


私の様子を見た川平のおじさんは、ふっと表情を和らげる。


「彼らは私が望んだ以上の結果をもたらしてくれた。
私もようやく肩の荷が下りた気分だよ」
「ふふ。凄いでしょう、ツナたちは」


私が思わず微笑んでそう言うと、川平のおじさんは隠すことなく「ああ」と頷いた。


「彼らには感謝してもし尽くせない。
だから、何らかの形で彼らにお礼を出来ないものか、と思うんだよ」


そして彼の口からそんな言葉が飛び出たものだから、私はキョトンとした表情を浮かべてしまう。


お礼。
アルコバレーノにかけられていた呪いは既に解かれているはずだから、それ以外に、ということか?


「お礼ですか……まあ、何か贈り物をするっていうのが一番ポピュラーですよね」


私はとりあえず口にしたその言葉で、「あ」と思い出す。



そうだ。
私も恭弥くんに届けなきゃいけないものがあったんだ。



私は依然として自分の手元にある押し花の存在を思い浮かべながら、すっと立ち上がる。


「私、元の世界に帰る前に会いたい人がいるんです。
だからすみません、その、並盛に帰していただけませんか……?」


おずおずと表情を伺いながらそう頼んだ私を見て、川平のおじさんは一瞬キョトンとした後、柔らかく微笑んだ。


「ああ……あの熱烈な告白を見せてくれた、彼のことかな」
「ねつれつッ……うう、は、はい」


あれっ、この人も聞いてたのか!!


私は頰が熱くなるのを感じながら、それでも頷いて見せる。
川平のおじさんは「ふむ、」と少し考え込む仕草をした後、袖の中をごそごそと探って何かを取り出した。


「わかった、君を並盛町に送り届けよう。それと、これを」


川平のおじさんは私の掌に、ぽとりと何かを落とす。




私の手の中にあったのは、見覚えのある透明のリングだった。

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しおぽん - くっそぅ!お幸せに一生爆発しててくれぃ!! (2022年2月3日 22時) (レス) @page45 id: 6db5cc4293 (このIDを非表示/違反報告)
本屋と図書館とガソリンスタンドの匂いが好き(プロフ) - 最高です雲雀さんお幸せに!!!!!!! (2021年12月28日 22時) (レス) id: 6f7b9e6ac6 (このIDを非表示/違反報告)
まくすうぇる(プロフ) - 神作であることに間違いない。最の高。ごちそうさまでした!!!! (2021年5月29日 16時) (レス) id: db51d70f74 (このIDを非表示/違反報告)
ひの - 連載当初から好きで、今も時折見に来てしまいます。これから先、何年経ってもきっと見に来てしまうと思います。この作品に勇気をもらったこともありました。素晴らしい小説をありがとうございます。 (2021年1月13日 1時) (レス) id: 8fc5acefd4 (このIDを非表示/違反報告)
たなきと(プロフ) - 久しぶりにREBORNの小説を読みたくなって、適当に漁っていたら素晴らしい作品を見つけてしまった・・・他の作品とか作っていたら読みたいと思ったのですがアカウント消してしまったのか出てこないのが寂しかったです・・・素晴らしい作品をありがとうございました!! (2020年7月26日 22時) (レス) id: 8ad013a52b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:りり | 作成日時:2017年7月23日 19時

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