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ワープでツナの背後に回ったイェーガーの攻撃を、恭弥くんと骸が受け止める。
『君は背後に回るしか能がないのかい?』
『直線的すぎる。焦っているようだ』
確かに素人目に見ても焦っているのが丸わかりだ。
悔しそうに呻くイェーガーが、連続でワープし、今度は恭弥くんの横に現れる。
続けてツナを狙うものと思い込んでいたのか、骸の反応が一瞬遅れた。
ツナもワンテンポ遅れて『雲雀!』と警戒を促すが、その瞬間にはもう、恭弥くんはイェーガーの攻撃を、肩に受けてしまっていた。
私は思わず、言葉を失った。
恭弥くんの肩から吹き出す鮮血。
突然襲った苦痛に、ぎり、と歯噛みしたのが分かって、私は目を閉じたくなった。
目尻に溜まっていた涙が、既に滴り落ちた涙の軌跡に従って次々に頰を滑り落ちていく。
「きょうや、く……!!」
『……ねえ、君』
「!」
恭弥くんが、ぽつりと言葉を落とす。
僅かに聞き取れる程度の音量の、その声。
私は決して聞き逃すまいと、嗚咽が漏れ始めた口を閉ざして息を殺す。
恭弥くんに一撃を加えたイェーガーは、呼びかけに応じず距離を取ろうと動く。
しかしいつの間にか、イェーガーの足にはトンファーの鎖が巻き付けられていて、それは叶わなかった。
イェーガーが地を蹴って僅かに跳んだところで、足に巻き付いた鎖が拒絶するようにギッと音を立てる。
鎖に引っ張られ、イェーガーは空中でバランスを崩した。
その瞬間を逃さず、恭弥くんが鎖を思い切り横に薙ぎ、イェーガーを地面に叩きつける。
『君が、Aを殺すって?』
『冗談じゃない』
起き上がりかけたイェーガーを、恭弥くんが渾身の力で殴りつける。
イェーガーは『がッ、』と苦しげに呻いた。
恭弥くんの肩から溢れ出た血が、地面を赤に染めていく。
それを気にすることなく恭弥くんは吹っ飛んだイェーガーのもとへ、フラつきながらも歩いていく。
「恭弥、くん、」
足を止めて。
早く止血しないと、血が。
私の思いとは裏腹に、恭弥くんは足を止めることなく、言葉を紡ぐ。
『君、僕のことが嫌いだろう。
あの夜に戦った時から感じてたよ』
『僕も君が大嫌いだ』
『お互い、嫌う理由はたぶん同じだね』
ゼェゼェと息を荒くするイェーガーを冷たく見下ろすようにして、恭弥くんが口角を上げる。
『Aのことが、好きだから』
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しおぽん - くっそぅ!お幸せに一生爆発しててくれぃ!! (2022年2月3日 22時) (レス) @page45 id: 6db5cc4293 (このIDを非表示/違反報告)
本屋と図書館とガソリンスタンドの匂いが好き(プロフ) - 最高です雲雀さんお幸せに!!!!!!! (2021年12月28日 22時) (レス) id: 6f7b9e6ac6 (このIDを非表示/違反報告)
まくすうぇる(プロフ) - 神作であることに間違いない。最の高。ごちそうさまでした!!!! (2021年5月29日 16時) (レス) id: db51d70f74 (このIDを非表示/違反報告)
ひの - 連載当初から好きで、今も時折見に来てしまいます。これから先、何年経ってもきっと見に来てしまうと思います。この作品に勇気をもらったこともありました。素晴らしい小説をありがとうございます。 (2021年1月13日 1時) (レス) id: 8fc5acefd4 (このIDを非表示/違反報告)
たなきと(プロフ) - 久しぶりにREBORNの小説を読みたくなって、適当に漁っていたら素晴らしい作品を見つけてしまった・・・他の作品とか作っていたら読みたいと思ったのですがアカウント消してしまったのか出てこないのが寂しかったです・・・素晴らしい作品をありがとうございました!! (2020年7月26日 22時) (レス) id: 8ad013a52b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りり | 作成日時:2017年7月23日 19時